不要か?必要か?!芦原橋にある存続危機の「大阪人権博物館」に行ってきた 

大阪市浪速区

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最寄りの芦原橋駅周辺は昔と全く変わらないゴーストタウンっぷり、それどころか人権センターや解放会館といった同和関連施設も軒並み閉鎖されてしまい前より増して寂れてしまっている。大阪人権博物館に至る道を歩くとまるで北朝鮮か旧共産圏の街並みを彷彿とさせる整然と並んだ高層市営団地群を眺める事になる。足元にはやはり太鼓をテーマにしたモニュメントがいくつも据え付けられている。

何故か韓国のサムルノリがあったりする訳ですが、他の国の太鼓モニュメントは見当たりません。他のアジア諸国にとってこれは不平等である。

そして辿り着きました大阪人権博物館へ。建物はそれほど古くはないが、元々は木津川二丁目に移転した大阪市立栄小学校があった場所でその頃の旧校舎の建物をモチーフに作られている。

「リバティおおさか」という通称もついているこの博物館、「人権」をテーマにした博物館としては日本でも数少ない存在なのであるが、そもそも設立の経緯からして同和対策事業の一環で当初からイデオロギーの偏った団体さんの意向も反映されているので「ピースおおさか」などと同様、橋下氏に突っ込まれる以前からその展示内容に疑問が多い施設でもあった。


一般の来館者よりは教員研修の一環で利用される事が多いようで、観光施設の一つとして芦原橋駅を降りて「わざわざ見に来る」人間は数える程しか来ないようだ。大阪府市からの補助金カットを受けて今では入館料金が倍の500円に跳ね上がっていた。ちなみに12月の人権週間内だと無料で入れる。

展示スペースが3つに分かれている事など基本的な構成は以前と変化がないのだが橋下氏にあれこれ突っ込まれたせいで、展示内容は前回見た時とは全く変わっていた。のっけから赤ちゃんとパパママが出てくる和やかムービー登場。

「生きているんだね、自然とともに」ってなんじゃこりゃ。いきなりズッコケそうになる抽象的でよくわからない展示コーナー。どうしてこうなった?!

しかも意味不明過ぎる「生まれなおし体験コーナー」。赤ちゃんになったつもりで下の穴を潜ってみましょう。中からオギャーオギャーと新生児が泣いている声が響いている訳だが…これは一体何の儀式なんだろう…

元々このコーナーには「私の価値観と差別」のテーマで生まれてきた国や性別や家庭環境の違いに基づいたあれこれが展示されていたのだが、このへんは殆どそっくり抽象的内容の薄っぺらいものに変わってしまっていた。

生まれてから社会に出るまでに生じる他人との比較や差別の根元にあるきっかけは何でしょう、というテーマに基づいて一般的な子供の部屋にありそうな身近な生活空間を再現したコーナーだった。リニューアル前の方がまだ内容がはっきりしていたような気がする。

以前の展示では人権博物館らしく被差別部落や在日コリアンに留まらず様々なマイノリティに関する展示があったのだが、性的マイノリティやらホームレス、それから薬害エイズ、水俣病といった部門は大幅に展示スペースが縮小されていた。

そして「近代国家と女性」のボードにはかつての松島遊郭の貸座敷制度について説明されているくだりがあった訳だが、こうした具体的な展示物がリニューアルでごっそり無くなっていたのだ。橋下氏に展示内容がネガティブ過ぎると突っ込まれて、ネガティブっぽいものは軒並み撤去ですか…

しまいには「世界と大阪」なる人権と関係あるのこれ?みたいな退屈な教科書の一ページをそのままコピペしてきたかのような展示コーナーまで現れて呆然としてしまう。具体的に展示内容の見直しが求められたのに、どう見直せばいいのか博物館の当事者が分からない、といった雰囲気が漂う。

もうこの辺とか完全にお手上げモードでございますな…我々は単純に楽しんで見てるので構わないのだが、一般客にこれは気の毒過ぎるだろう。

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