大阪梅田「大阪駅前地下道」…立ち退き問題で揉める「串カツ松葉」と「ぶらり横丁」、在りし日の「アリバイ横丁」

大阪市北区

大阪梅田の阪神百貨店梅田本店が建て替え工事によって、地下にあった「スナックパーク」が閉鎖するという話を聞き、いよいよ大阪駅前の「梅田らしい光景」が本格的に消えてしまおうとしている事を実感させられる。

大阪市北区 梅田

当サイトでは特に大阪駅前の一等地、阪神百貨店とJR大阪駅との間の地下を東西に走る「大阪駅前地下道」を十年ごしでゆるく観察し続けてきたが、現在阪神百貨店の建て替え工事に伴う地下道の拡幅工事が計画されており、この地下道で長く営業していた一部店舗と市側との間で立ち退き問題が発生している。

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まず最初に挙げられるのが、大阪駅前地下道の象徴的な光景になっている「串カツ松葉」だ。地下道から地上部分へ繋がる階段の手前にある。JR大阪駅から最短距離で阪神百貨店や地下街を結ぶ動線にあり、日常的に多くの人が行き来する例の串カツ屋。ここが立ち退き問題で今まさに槍玉に挙がっている店舗だ。営業時間は年中無休、朝10時から夜10時まで。朝飲みから仕事帰りの一杯まで受け皿は広い。

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この「松葉地下店」、戦後間もない昭和24(1949)年に開業した(昭和23年と書かれている例もある)超老舗串カツ屋で、戦後に闇市状態だった地下街で、環境改善のために大阪市から道路占用許可(地上が公道なので、道路法に基いている)を取り、以後現在までこの場所で営業し続けている。店の面積はせいぜい5坪くらい、上半身だけ隠れる暖簾で隔てられた立席しかなく、せいぜい10人も並ぶといっぱいいっぱいになる。

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しかし大阪市からの道路占用許可は2014年9月末で切れてしまっていて、店側は立ち退き要請を拒否。事実上の「不法占拠」状態となり、店側は「65年間ここでやって来たのに、市側の都合で移転させるなら、せめて代替店舗を用意しろ」と主張し、大阪簡易裁判所に調停を申し立て、現在も営業を続けている。

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いっぺん話のタネにどんなものかと「松葉地下店」の暖簾を潜った。中も想像以上にクソ狭い!!目の前に串カツをせっせと揚げる店員のあんちゃんがいて、透明アクリル板を隔てて調理中の光景がガン見できる程に狭い。よくこんな狭い場所で身をこなせるよなと感心するわ。

他にも3名程店員が居て、注文を取る女性店員はどう見ても外国人だが、日本語が堪能で、気性が荒く無愛想な所まで戦後の下町酒場的な雰囲気が良く出たキャラクターだ。ソースや油で手が汚れた時に拭く用と思われる濡れタオルがぶら下げられていたり、狭いスペースを有効活用する工夫が万全に施されている。

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とりあえずの生ビールと串カツ数本で昼飲み開始。串は一本100円~180円、具材は牛串、青唐、うずら、れんこん、いか、きす、期間限定の牡蠣等々。揚げたてで食えるので美味しくない訳がない。目の前にキャベツとソースが置かれていて「二度漬け禁止やで」というのは新世界によくある串カツ屋のそれと変わらない。カウンターも幅が狭く、満員御礼のカウンター席を前に身体も斜め45度にしながら無理無理喰らう。これが「風情」と言えば風情なんだろう。

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いざ「松葉」が立ち退き交渉完了と相成っても、21世紀にこんな駅前一等地の地下道でこの手の戦後のドサクサ店舗が再び成立する見込みはなかろう。それにしても店の暖簾が来る度に違うのは、やっぱり串カツの油でボロくなるスピードが早くてしょっちゅう替えてるからなんでしょうかね。

ちなみに店側が毎年大阪市側に支払っていた占用料は1平米あたり2万2千円。これで60年以上やれたら破格のお家賃である。つまりは「既得権を失いたくない」一点なのではないかと。風情が損なわれるのは惜しいが、以前あった道頓堀「大たこ」問題同様に不法占拠が長期的に放置されるのは行政の怠慢であり見苦しくもある。

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どうでもいいけど、2014年3月の大阪市長選挙に出馬したマック赤坂氏は「松葉」前の地下道で連日街頭演説、選挙期間中は松葉の串カツをよく食っていたそうです。確か「私が当選したら松葉は文化財に登録して守る」と言ってた程気に入っていらしたようですが、結果は落選。

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串カツ松葉のすぐ向かいにある「チケットショップオアシス」。ここは地下道拡幅工事の対象エリアには含まれておらず立ち退き問題とは無関係らしい。(立ち退き対象の店舗だったそうです。謹んで訂正致します。2015/06/13追記)非常に場所も良いのだが、毎回窓口の前に行列が。わざわざチケットショップに行列をしてまでチケット代をケチって少しでも金を浮かせたい大阪人の性格をよく示している名物店舗だと思う。

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ちなみにこの地下道で立ち退きが求められている店舗は「串カツ松葉」と「ぶらり横丁」の一部店舗以外、道路占用許可の期限が切れた去年9月末までに占用許可を自主的に返還するなどして全て店舗を閉鎖している。

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