西成・飛田新地至近、激渋アーケード「山王市場通商店街」

大阪市西成区

日本最大の労働者の街「釜ヶ崎」、日本最大の現役赤線地帯「飛田新地」を抱える日本最強のDEEPゾーン西成区にはこれまた日本屈指の激渋レトロアーケード街が縦横無尽に広がっていて「庶民の王者」(by大作先生)的風情を漂わせているのである。

西成区 動物園前

今回ご紹介するのは「山王市場通商店街」。動物園前駅から飛田新地へ向かう飛田本通商店街の中程、スーパー玉出今池店の手前から東側に分岐する狭いアーケード街だ。安売りスーパーや韓国居酒屋なんぞが軒を連ね、労働者や地元民の買い物客やチャリンコで溢れかえる。

西成区 動物園前

山王市場通は道幅も狭く、全長は150メートル程度しかなく、さらにその区間を阪神高速松原線が横切っている。商店街の西寄りには土着臭のきつい銭湯「萬盛湯」もある。ドヤ街釜ヶ崎に隣接する場所柄、労働者の衛生上必要な下町銭湯です。

西成区 動物園前

スーパーマーケットだけでなく昔ながらな和菓子屋まであったりして生活臭溢れるアーケードとなっている訳だが総じて時代感覚が四半世紀以上はズレまくっている。和菓子屋の店先に「家賃2万」の福祉アパートの広告が貼り付けられているのもお土地柄。

西成区 動物園前

買い物客は多い割にはシャッターを閉めたまま何年も営業していなさそうな食料品店も多い。すこぶる枯れた感じがする山王市場通。

西成区 動物園前


そんな商店街の中でもとりわけ存在感が強いのがここ「助六」。丼物とうどんそば。所謂大衆食堂であるがその店構えはリアルに昭和三十年代テイスト。歴史遺産に指定しても良いこのクオリティの高さを見よ。やっぱり西成って凄いな。

西成区 動物園前

月見うどん350円、ざるそば400円、親子丼550円とまさしく値段も大衆食堂のそれ。こうした食堂はいつ何時無くなるやら分からない。

西成区 動物園前

山王市場通に店を構えるレトロな看板が目印の「喫茶ひかり」。極普通の下町の喫茶店といった感じだが、ここで昼過ぎにコーヒーを飲んだらお代が何故か半額の200円だった。「昼以降半額」という謎のサービスをやっている。激安喫茶店激戦区西成で商売をやるのも楽ではない。

西成区 動物園前

山王市場通の真ん前、阪神高速の高架沿いにある映画館「飛田東映」「トビタシネマ」の広告。通常時でも入館料800円なのに、火曜と金曜は500円、正月3日はお年玉プライスで100円。超破格である。ドヤ代が払えない空き缶拾いのホームレスが雨露をしのぐ時に宿代わりに使っているともいう。邦画専門「飛田東映」で流れる映画にヤクザものが多いのはこれも土地柄か。

西成区 動物園前

山王市場通の東側でアーケードは途切れる。この先も商店街となっているのだが、ドヤ街のコアゾーンからは外れるので人通りも減る。すぐ東隣には阿倍野再開発地区、南隣は新開筋商店街を跨いで飛田新地が広がる。

西成区 動物園前

それはそうとこの場所、以前はアーケードが架かっていたはずなのだがいつの間にか撤去されて青空が広がっている。相変わらず商店街なのだが、廃業している店も多くかなり寂れた印象。

西成区 動物園前

ここに数年前まではこのようなアーケードがあった。屋根がボロボロに破けている所に注目して頂きたい。寂れた挙句修理代も捻出できなくなってしまったのだろうか。

西成区 動物園前

ボロボロの屋根が連なる終末的アーケード街もそれはそれで風情があったが本来の雨除けの役割も果たさず、場所柄ホームレスの寝床になっていたのもあって結局修理せず撤去する方針に決めたんだろうな。時の流れに抗うように変わらない西成の街だが、やはり変わる所は地味に変わっているのである。


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