大阪・西成、日本最大の労働者街・釜ヶ崎。3万人の労働者人口を抱える街。ここには日本社会最底辺の日常がある。
さて、独身男性ならお困りなのが下半身の処理だ。最も安上がりなのが「個室ビデオ」の店に他ならない。表向きには普通の映画のDVDを置いているが、客層から見て用途は言わずもがなの世界である。新世界の西側にあるこの店舗、店の名前が番組著作権的(笑)に問題があったせいか、不自然に「650円」の文字が上から張られている。
650円と書かれているのは1時間辺りの料金だ。ナイトパックは1800円。
ネットカフェ難民だの騒がれるずっと前から釜ヶ崎では個室ビデオ難民やら映画館難民が常態化しているわけだ。
1泊1800円払えるのが難民と言うなら1泊500円のドヤ暮らしのオッサンはどうなるねん、という話だが。
あと店舗によっては個室ビデオの客を当て込んだアレの処理サービスもあるそうです。
場所柄だと駐車場の料金設定も激安になるようである。JR新今宮駅のまん前でこの価格設定である。破格ではなかろうか?
まあ、万が一暴動発生時にはお車の安全を保証することはできません、という暗黙の了解かも知れない点は理解しておく必要はある。
西成に流れ着く労働者も、かつてのように若者ばかりではなくなった。身寄りもないまま高齢化してしまった人々も大勢流れ着く。そんなオジサンが若者同様朝4時から安定所に並ぶような体力もなくなるのは至極当たり前の話。そこで活躍するのが「福祉住宅」と呼ばれる物件だ。
「福祉住宅」とは読んで字のごとく、行政から福祉を受けた上で入居する住宅のことだ。西成区を中心に多数存在する。「福祉」とはすなわち生活保護。家主が福祉相談や行政への生活保護受給までの手続きを手伝うところも少なくない。月11万5千円から支給される生活保護を根拠に家賃を徴収する。行政から確実に支給されるため、家賃の取りはぐれもない。
生活保護は日本国憲法第25条で保障されている生存権に基づいた最低ラインの保護である。
国が4分の3、大阪市が4分の1を支出するが、生活保護は国ではなく大阪市に貰いに行く。
「生活保護天国」と呼ばれる大阪市の生活保護受給者は10万人を超えており(市民の25人に1人、全国平均の4倍程度)、これが大阪市の財政を激しく圧迫しているのだ。そのうち、釜ヶ崎のある西成区だけで2割、西成区民の100人に15人が生活保護受給者という突出した状況だ。
ただでさえ財政難の大阪市は、生活保護行政はそもそも国が管轄するのが筋、国が全額負担すべしだと主張しているが、現状では国も財政難のため、自治体の負担率を逆に3分の1に高めようという動きに転じている。大阪市の生活保護行政はもはや瀬戸際に瀕しているのだ。
一方で大阪市は特定マイノリティの「エセ弱者」による生活保護の不正受給も酷いわけだが…
もし生活保護さえもらえない人間はどうなるだろう?
基本的に生活保護は「居住地がある人間」「病気や高齢で働けない人間」でなければもらうことができない。
それ以前に義務教育すら受けていない年齢層では文字も書けなかったり、生活保護制度の存在自体知らない人だっているんだから、十分に行政の支援が及んでいるとは言いがたい。
そんな人々に残る手段は、つまり路上生活しかなくなる。寒い冬には凍死者だって相次ぐ。大阪市だけで分かっているだけでも年間200人以上の行路死者が出る。その大半が身元不明者で、全て無縁仏として阿倍野区の斎場に納骨される。
リヤカーにはでかい犬が乗っかっている。正直怖いです。
しかし住所不定者の数少ない収入源が「リヤカーのオッサン」ことダンボール・空き缶の廃品回収業である。
釜ヶ崎周辺にも数多くのリサイクル工場や廃品回収業者が存在する。浪速区と西成区だけでよく見かける「リヤカーのオッサン」。一日歩き回って古紙や空き缶を回収しても、得られる金は大した額ではないそうだ。
そんなドキドキタウン西成で、あなたもギリギリでスリリングな暮らしをエンジョイしてみませんか(笑)
こんな場所にも普通に市民の生活はあるのだ。きっと、この住民の多くは釜ヶ崎がドヤ街になる以前から先祖代々住んできた土地だったのかも知れない。
弱者保護は人権問題もあるので難しい話だが、そればかりではなく数多くの失政でで血税を無駄にする放蕩体質の大阪市。
本当の金持ちは大阪市に税金を払うのも馬鹿らしくてさっさと郊外に移住してしまうが、気の毒なのが土地があるのでやすやすと市外に引越しもできない中流層の市民である。
大阪市西成区、日常の中にも歪な構造が横たわる、危険な街。
参考ページ
ZAKZAK 追跡・あいりん地区
大阪市 ホームレス対策・あいりん対策
大阪市西成区の生活保護受給の現状
大阪日日新聞:大阪西成 あいりん地区は今