京阪寝屋川市駅前のレトロ市場「日之出商店街」と文化住宅だらけの下町風景

京阪寝屋川市駅前にある商店街、寝屋川一番街やベル大利商店街の他にもう一ヶ所、ちょっと駅から離れた一画に昭和な佇まいのアーケード街が残っていた。

駅東口の新たに整備された目抜き通り「さわやかロード」に沿って歩くと、創価学会のでかい施設があるその真向かいに「日之出商店街」と書かれた小さな商店街があるのが目につく。

全長50メートルくらいしかないアーケードだが、表の果物屋と不動産屋の間の通路に入っていくと、なんとも昭和感漂う生活空間が視界に飛び込んでくる。商店街というよりも「市場」と形容した方がしっくりくる。

買い物客の多くは手押し車や杖を手にしてよっこら歩く後期高齢者が多い。昔からの常連客しか相手にしていない土着の個人商店で占められる。和菓子屋とかババ服屋のような店舗ばかりで、若々しさの欠片もないのが逆にツボにはまる。

二階建ての店舗兼住宅の長屋が対に向き合う格好、その作りからして恐らく昭和40年代に建設されたものと思われる。シャッターを閉めた店舗もちらほらあるし、駅西側のベル大利商店街と比べると活気がない。

しかしそんな鄙びた商店街の片隅で美味そうな匂いを放つ食い物屋も何軒かある。土着の後期高齢者や目の前の大阪電通大の学生にお安く飯を提供する“皆様の台所”「兼六食堂」。赤い暖簾の渋さがまたツボにはまる。

兼六食堂の種類豊富すぎるメニュー表。カレーライス330円、きつねうどん220円、チャンポンメン310円、カツ丼390円という超絶価格。西成あたりと変わらんぞ。あとは炒飯にラーメンかきつねうどんがセットで付けられる“炭水化物オン炭水化物”な焼きめし定食480円も貧乏学生と貧乏老人の胃袋の強い味方である。

もう一軒、店の表から出汁の匂いをぷーんと放つ大衆うどん屋「玉よし」も気になる佇まいである。結局炭水化物を食べるしかない街、それが寝屋川市である。

廃業したままシャッターを降ろしている食料品店の前は買い物や食事に来た客のチャリンコ置き場に使われている。

そんな庶民派過ぎる商店街の一画でしれっと営業している古臭さ満点のコインランドリーも昭和の貧しさを奏でている。

そんなコインランドリーの先で唐突にアーケードが途切れる。ここから路地に沿って歩いていくとまだまだ味わい深い街並みが続いている。

文化住宅が立ち並ぶ寝屋川市の「健康で文化的な最低限度の生活」な街並みです

この先にある日之出町・出雲町・木田町・昭栄町といったエリアは軒並み寝屋川らしい文化住宅やボロアパートが密集する下町感全開の街並みとなっている。文化住宅に混じってお好み焼き屋などが店を構えていたり…

文化住宅と一体化した商店群にはオシャレ感の欠片もない街の散髪屋やらスナック・居酒屋なんぞが並んでいる。このへんは見るからに相当築年数が古い。

散髪屋の隣の潰れた店の前は物干し台代わりに使われていたりして、土地の使い方がゆるいったらありゃしない。ちなみにこの建物は2017年の時点で解体されている。

すぐ右隣の二階建て文化住宅の軒下も3軒とも居酒屋ばっかりやないかい。アパートの下で毎晩毎晩「今日は乾杯!」なんてやられたら、アル中になる人生しか思い浮かびません。

次は「寝屋川一番街」のアーケードを抜けた先から南に伸びる生活道路に沿って歩く。「寝屋川中1男女殺害事件」の犠牲者が犯人に連れ去られる直前に歩いていたと思われる道だ。

道すがらにあるのは関西ではお馴染みのディスカウントスーパー「サンディ寝屋川出雲店」。このチェーン店がある場所は大阪でも決まってガチでビンボーな地域ばかり。サンディはなにげに関東進出もしているが、これもなぜか東京よりも埼玉のビンボー臭い団地に入っている。

寝屋川市昭栄町のプチ九龍城砦

サンディからちょっと行ったところにある昭栄町の路地裏の一角に三階建てのオンボロトタン葺き店舗兼住居が唐突にそびえていて、迫力が凄い。寝屋川のプチ九龍城砦ですかこれ。二階建てではなく三階建てというところに建物の凄みが生まれているが、パッと見たところ大半が空き部屋になっている件。

航空写真で上空からこの建物を見ると、その大きさから昔は市場に使われたりしていなかったのだろうかと勘繰る造りである。昭和50(1975)年の航空写真でもこの建物は存在しているので、築年数的にはもう50年近い事だけは確かである。

しかしさらに驚いたのが、こんな超絶ボロ物件なのにその一部がリフォームされて「売物件」として取り扱われている事だ。一体この物件、販売価格はいくらなんですか。

一階店舗部分はおおよそスナックや居酒屋といった店舗か、また個人宅や作業場に使われている箇所も見られた。ともあれ、お安く中古のマイホームが手に入りそうな街、それが寝屋川市でございます。

その近くの店舗兼住宅も軒並み廃墟化した箇所が目立っている。しかしなんですかこの「中日結婚相談所」ってのは。

高度経済成長期に地方から労働者をガンガン受け入れ膨張を繰り返してきた大阪都市圏の端っこがこの寝屋川あたり。既に役目を終えた文化住宅が続々と廃墟と化している姿を目の当たりにしているのだ。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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