フンデルトヴァッサーの遺作、世界一派手なゴミ処理場「大阪市環境局舞洲工場」に出入り自由な日がある

大阪市此花区

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此花区 舞洲

やはり子供向けに誂えているのだろうが見学通路の各所にある設備見学ブースの前には「炎の洞窟」だの「ごみの谷」だの「森の広場」だの名前が付けられていてどこかロールプレイングゲーム風味。ここは童話の世界というやつでしょうか。

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他にも、大阪市におけるゴミ収集の歴史なんかが分かる展示があったり、見るものが結構色々ありますよ。ちなみにこの舞洲工場、東日本大震災によって大量に出た震災瓦礫を受け入れており、瓦礫は岩手県宮古市周辺のもので放射能汚染は全然関係ないはずなのだが、放射脳な方々がギャーギャー喚いて反対されていたのも記憶に新しいですね。ゴミはダイオキシン類が発生する事のない900度以上の高温で焼却される。

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こちらは3階見学通路にある制御室。ここでも大阪市環境局の職員が24時間待機して設備を見守っている。あまり他に客もいないせいかして、見学通路の要所要所に立っている作業服姿の職員のおじさん達がやってきて設備について逐一説明してくれる。

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3階から見られる「ガレキの谷」と名付けられたスペースからはガラス越しに粗大ゴミの破砕設備の稼働状況が観察できる。家電から乳母車まで、元々誰かに使われていた、見慣れた家財がどんどんクレーンで吊り上げられベルトコンベアーに載せられていく。

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子供向けにゴミの仕分けを教育する「賢者の壁」と名付けられたパネルゲーム的なものがあったり、まあなんとも緩いノリなんですが、傍らに立ってる数人の職員のおっちゃん達が強面なのに頭に風船とかを巻いていたりとかしてそのギャップの方が気になって集中できない。

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ハンドルを回すだけで破砕設備の仕組みを理解できるアトラクションがあったり、自家発電の仕組みが分かるものもあったり、まるで大阪市立科学館にいるような気分である。

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巨大な破砕機に取り付けられているカッター。稼働中の156本のカッターは4ヶ月程度で摩耗してしまうが、毎回取り替えると費用が馬鹿にならないので、職員自らが研磨・溶接して再利用、頑張って出費を抑えてますとアピール。

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また、舞洲工場ではゴミの焼却で得られる熱を利用してタービンを回して発電を行っていて、最大32000キロワットの発電が可能になっているらしく、これもゴミ発電設備としては国内最大級。電力は自前で賄い、余った分を関西電力に売って年間5億円の利益を挙げているという。このゴミ処理場を建てたのに609億円掛けたのを多少は取り戻せたんでしょうかね。

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さらに、3階から屋外庭園に出られる扉があって、外に出るとこの通り広々とした庭が広がっているのだが、誰も出入りしないし庭の管理も大変そうですねと気掛かりになるばかり。

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総事業費609億円、当初は「税金の無駄遣いの象徴」と揶揄され大阪市民の怒りを買う事にもなった曰くつきのこのゴミ処理場、フンデルトヴァッサーの建築が好きな方々には最強クラスの物件であるには違いないし、兄貴分のウィーン・シュピッテラウ焼却場よりも貫禄は二回りくらい上である。

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舞洲工場の外観部分、縁っこに乗っかっているフンデルトヴァッサー建築特有の「金玉」の制作費は1個100万円もしたと報じられた。それが数十個、ふんだんに使われているという…一方で公立学校にろくにクーラーも付けないという大阪市政の予算の偏重ぶりを知ると、呑気に珍スポや~とはしゃいでいられるのは余所者だけという事になる。

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それから2階に降りてきて「中央制御室」をガラス越しに見物して見学コースは終了となる。この部屋も24時間職員が待機していて、工場全体の状況を遠隔監視している。

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最後にアンケート用紙に書き込んでくれと頼まれるので、適当に感想やマルをつけて帰る事にする。やはり場所が辺鄙なのか単にアピールする気がないのか知らんが、オープンデーでやってきている来客は我々を含めても十人そこそこしか居ない感じ。ある意味穴場ですよね。

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今回のオープンデーではこの巨大煙突の中も見学出来てしまう。一旦建物から出て駐車場スペースを跨いで煙突の下へ。ご立派にそそり立ってますなぁ。

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外観はド派手だが中身は灰色のコンクリートに覆われた無機質なものとなっている。高さは120メートルあるが、安全上の問題で中の階段は登れず、下から見る事しか出来ない。

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外観だけでも充分貫禄あるのに、中を見学してより一層「世界一派手なゴミ処理場」の名は伊達ではないなと実感した次第。なお、舞洲工場オープンデーは次回8月23日(土曜日)に予定されているので、気になった方は見に行ってみて下さい。


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