ここが山口組発祥の地…神戸市兵庫区西出町と震災の爪痕が残る激寂れ空間「稲荷市場」

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稲荷市場北側の車道沿いを歩くと、こちら側にも寂れた盛り場の残骸みたいなものが残っていて、ちらほらと喫茶店やスナック、飲食店が軒を連ねている。さすがは港湾労働者の街の佇まい。

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一方で廃業した店舗の跡も生々しく、相当昔に廃業した喫茶店の店先に残されたUCCの自販機がやたら年代物で、店の前にはガラクタが捨て放題になっていた。

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完全に個人の趣味か福祉事業でしかやっているとしか思えない謎の食堂まで…カレーうどん、すじうどん、焼きそば250円、カレーライス300円という激安価格は西成顔負けの薄利多売ぶり。

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もう少し市場を外れて西出町・東出町一帯の街並みを眺めておこうと思った。稲荷市場周辺の狭い路地にはこのようなボロアパートがあちらこちらにあり、昔はこういう所に造船所の従業員なんかが暮らしていたのだろうかと想像するが、今となってはほぼ独居老人ばかり住んでいる印象。

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東出町三丁目の住宅街の路地。そこはまるで昭和の貧しさを今に引きずるかのような空間が残っている。もっぱらこちらの好物である鄙びた街並みなんですが…

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そのうち、外観からしてどう見ても「ドヤ」にしか思えないアパートが現れる始末。やはり山口組発祥の地に近いというだけあって、そのような街の「素地」は現在でも見られるのである。

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玄関上には下手くそな手書きで「一休荘」というアパートの名前が記されているのが見える。しがないドヤ暮らしでも、はぁ~い、慌てない慌てない、一休み一休み。

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建物の横っ面を見ればここが「ドヤにしか見えない」事に一層確信が重なる。隙間無く横一列に連なる細長い窓。それぞれの間口を測ると畳一畳分の幅もない。中を見ていないので実際の間取りはどうなのか何とも言い難いものがあるが…

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そんなガチなアパートが密集する東出町には「柳湯」という激渋な佇まいの銭湯も残されていて、恐らく現役っぽいんですが、ああいうアパートがいっぱいあるのなら銭湯の需要も未だに高いんでしょうな。

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銭湯もあればコインランドリーもあり、行き場もなく福祉に頼らざるを得ない独居老人の暮らしをひっそり支えているかのような生活インフラの勢揃いっぷりに胸が締め付けられる思いがする。

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しかしこれだけ歩き回っても、かの山口組の発祥の地である西出町の地名が残れど、具体的にはどこがそうなのか、100年も経ってしまうとさすがにそれが判るような物証も乏しい。

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ちなみに西出町は江戸時代に廻船業で財を成し北海道・函館の発展を支えた人物という淡路島出身の商人・高田屋嘉兵衛ゆかりの地であり、若い頃に身を寄せていた廻船問屋が西出町にあったという事で「本店の地」として碑が立っている。

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その近くにある竹尾稲荷神社。ここにも高田屋嘉兵衛の顕彰碑や神社の由緒、高田屋嘉兵衛や江戸時代の兵庫津についての案内看板がデーンと建っている。山口組発祥の地の石碑もこんな具合で立ってたら探す手間も省けるんですがそうはいきませんかね。

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国道2号、阪神高速の西側の区画も一部西出町となっていて、こちら側にも簡易宿泊所っぽい建物がいくつか確認できる。西成釜ヶ崎のような巨大ドヤ街と比べると地味で規模も小さいが、神戸市内で特に簡易宿泊所が多い場所と言えばここいら西出・東出から新開地あたりまでの一帯であるには違いない。


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