【大阪版ウトロ地区】戦後の残滓、飯場の名残り…大阪・天満「樋之口町」不法占拠バラック村

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ひとまず土建業者のオッサンに怒られるのも嫌なので早々に退散する事に。というかいつ関係者が出てくるか分からないスリルで神経が高ぶっている時に何とも嫌なものを見てしまった。

…し、死体の頭が!?

…と一瞬ドキッとしたがそんな訳がない。よく見たらただのマネキンが立てかけられた畳の裏から頭を覗かせているだけでした。しかしなぜこんないかにもな場所にいかにもなトラップを仕掛けるのだ。意地クソ悪い。真夜中に見かけたら間違いなく通報するレベルだぞ。

出入り口付近には廃車となったワゴン車の残骸がそのまま放置されている。ご丁寧に土建業者の屋号が記されていた。もう何十年もこの土地を使っているようで、置いてある車や資材も結構年季が入っている。

敷地外側の阪神高速守口線の高架下も同様に土建業者の資材置き場となっていた。この辺の土地はまだ接収されていないらしい。

資材置き場だけでなく駐車場としても広々と使っているようだ。ちょうど高速道路の真下で屋根付きだし都心の中ではかなり贅沢なプライベートスペースだ。

大阪だったらこうした場所はホームレスの格好の溜まり場になるものだが、ホームレスの小屋が見かけられないのは、土建業者が縄張りを張っているからだろう。

やりたい放題の高速道路下のスペースも、都島橋に近い部分は完全に緑色のフェンスで封鎖されている。不法占拠ゾーン包囲網は着実に狭まっているようだ。

目の前に広がる大川。春先には大阪市内屈指の桜の名所として花見客と騒ぎたいだけのDQNが、夏には天神祭の船渡御で参拝客とお祭り好きで騒ぎたいだけのDQNがどっさり押し寄せる。

大川の対岸、都島区側を見てみるとタワーマンションが乱立する真下の川沿いの一帯は未だに砂利採取の工場がずらりと並ぶ光景が見られたりとかなり独特である。この「砂利採取事業」も戦後における在日コリアンが生計を立てる手段の一つだった。

これは東京の話だが、戦前・戦後にわたり多摩川の砂利採取事業に沢山の朝鮮人が関わっていたとされる。関東では有名な不法占拠バラック村である川崎の戸手四丁目も、砂利採取業に携わる在日コリアンが戦後のドサクサで沢山住みついた。そうした歴史的経緯ではここ樋之口町や対岸の桜ノ宮界隈と共通するものを感じさせる。さらにここから少し下流には在日コリアンの祈祷所「龍王宮」の成れの果てが残っているのだ。

それにしても、こんな都心であるにも関わらずこんな不法占拠カオス地帯が野放しになっているとは…まあそれがもっとも大阪らしいんですけどね。

樋之口町のバラック村を抜けて大川沿いに出てくると、対岸には砂利採取業者の工場があり大量に積まれた砂利と運搬船が係留されているのが見える。一方で土建業者の倉庫や駐車場として勝手に土地が使われている臭い樋之口町側の大川には満天丸と書かれた屋形船が係留されていた。普段は天満橋の八軒家浜から観光クルーズを行っている屋形船である。なぜこんな場所に係留されているのか詳細は不明。

一度都島橋を渡って大川の対岸から樋之口町を眺めてみようと思い、橋の真ん前まで来たのだが無情にも直接行き来出来ないらしく迂回の案内が出ている。しかしここも様子がおかしい。明らかに行政ではない第三者が勝手に土地を占領している。

手書きで「通り抜けできません!KEEP OUT」などと記された看板が貼りつけられている敷地はフェンスで塞がれてしまっている。ホームレス小屋を連想させるようなブルーテントが橋の基礎部分にロープでくくりつけられているのが見える。

この中を覗くと案の定ガラクタやら廃家電やら空き缶やらが大量に置かれたホームレスさんの貴重な前線基地と化していた。おそらく橋の下は彼らのねぐらになっているのだろうが、これ以上近づくのはよした。

リサイクル基地となっているからだろうか、都島橋の下辺りはかなり家電製品などの不法投棄が目立つ。下手すりゃここで家財道具一式タダで揃いそうな気配すら漂う。やはり2011年地上波アナログTV放送終了が近づいている時節柄かしてテレビの不法投棄は一段と目立っている。

しょうがないので都島橋の下を一旦潜って反対側に橋の上に登る階段はないものかと思って向かったのだが、この付近にも不法投棄された廃車が何台も放置されていて殺伐極まりない。

「この物件は、河川法に違反していますので、至急撤去して下さい」と書かれた大阪府西大阪治水事務所の張り紙の日付は4ヶ月前。いくら張り紙を貼っても持ち主は決して現れない。犯罪に使われた盗難車だったりどうせろくな使い方をされていないだろう。

だが少し橋の下を進んだところでやっぱり様子が変な事に気が付く。

都島橋北側の大川沿いも砂利採取業者の敷地になっていたのだ。こういう場所に不用意に足を踏み入れるのもよろしくない。諦めて引き返す事にした。

眼前にはサイゼリヤの店舗と駐車場。この付近も土建業者の敷地として勝手に使われていたようだが現在では車道のスペースだけを残して完全に緑色のフェンスが建てられている。

ここにも不法に軽自動車が棄てられていた。尋常じゃない数の警告張り紙。犯罪の匂いがそこはかとなく漂う。

こんな不法投棄だらけのカオスゾーンとお隣同士になる新築超高層タワーマンション。あまりに不釣合いな組み合わせに笑ってしまう。雑多な文化を容認するのが大阪人の気質だしまあこれはこれでいいのかも知れない。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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