【オーク200】大阪の副都心になり損ねた街…バブル建築超高層ビルがそびえる「弁天町」の惨状を見よ

先日このような記事があって、某ネット掲示板界隈でやたらと騒いでいるので気になって見ていたのですが…

【経済ななめ読み】大阪の致命的な欠陥 – 産経ニュース

かねてから大阪を憂う産経新聞記者のコラムであるが、ここでは「JR大阪環状線の西半分がほとんど開発できていないのだ」と触れられている。いびつな円形を描く大阪環状線の「西半分」がどこからどこまでか人によって解釈にバラつきがあるが、恐らくこの解釈の中心に据えたいのが「弁天町」という街のことであろう。

弁天町というのは大阪・梅田からJR大阪環状線で4駅(快速の場合は3駅)、たったの6~8分で来れる、大阪市港区に属する地域である。JR大阪環状線は時間帯によって同じ環状線内を走る各停電車よりも大和路線や阪和線に乗り入れる快速電車の方が多く走っているが、その快速電車の停車駅にもなっている。本来、交通便には恵まれているはずの場所である。

加えて弁天町には大阪市営地下鉄改め大阪メトロ中央線の駅もあり、本町方面にもアクセスの利便性は非常に良い。交通便さえ良ければ街は自ずと発展するものだというのは「シムシティ」をプレイしているうちは通る道理だが、面倒臭い事情があって必ずしもそうは行かないのが大阪という街である。しかし何だよこの「弁天小町」というキャラは…

弁天町と言えばこれまで長らく営業していた「交通科学博物館」が、他に大したものもないこの街に他所から観光客が訪れるきっかけになっていた場所でもあったが、これも2014年4月に閉館、展示物は京都鉄道博物館に持っていかれ、跡地には何も残らず、今となっては駅メロが「線路は続くよどこまでも」になっているのが辛うじての名残りである。

大阪の副都心になり損ねた街・弁天町のランドマーク「オーク200」が酷い

JR弁天町駅のホームに降り立つと、やたらとゴージャスな超高層ビルがそびえているのが嫌でも目につく。バブル終焉期の1993年に建てられた再開発ビル「オーク200」のうち、オフィスやホテルなどが入居する「1番街」と称するビルである。実はこの弁天町、「キタ」と「ミナミ」に次ぐ大阪市の副都心とすべく大々的に開発されたものの、様々な理由から見事に失敗してしまった街となっている。

「Osaka Resort City」の頭文字と超高層ビルの高さから「ORC200」と命名されたこの複合施設、1993年にオープンした当初は、当時西日本最大級と大々的に銘打った巨大屋内型プール「POOLS」やボウリング場を核としたゴージャスな複合レジャー施設「パラディッソ」として、海遊館がオープンしてからも日が浅い当時の大阪ベイエリアに華々しく開いた最新トレンディスポット状態になって物凄く栄えていたのだが、その繁盛も長くは続かなかった。

巨大屋内型プールやボウリング場、ゲームセンターなどが入居する「3番街」も今訪れると物の見事に閑古鳥が鳴いており、パラディッソという呼び名もいつの間にか消えてしまっていた。「POOLS」はコナミスポーツクラブに運営が変わり営業が続いていたが、ここも2017年3月に閉館。現在リニューアルされ2018年末には別の温浴施設に変わる予定。

現在どうにか駅前の賑わいらしさを残しているのが「2番街」にある飲食店街。「鶴橋風月」だの「そじ坊」だの、大阪ではありきたりな店ばかり入っているが、もはや「無いよりマシ」レベル。年々来る度に寂れてきている。

昔はもう少し沢山の店が入っていてそれなりに地元民の姿で栄えていた記憶があったのだが、長らくオーク2番街1階で営業していた「ファーストキッチン」もいつの間にか撤退していてテナントには後釜店舗が進出する兆しもない。

1番街から4番街までをひっくるめたオーク200の中心広場となっているアトリウムも、天井のピラミッド型のガラス屋根といい、90年代バブリー臭がそこはかとなく漂うデザインである。今でも地元民が集まるフリーマーケットなどではそこそこ人手があったりするのだが、このロケーションで平野ノラあたりをお立ち台に立たせて“ディスコでフィーバー”させるとさぞかし良い画が撮れるのではなかろうか。

産経新聞の記者が憂う通り、東京のトレンディな再開発ビルのそれと同じシャレオツぶりはオーク200のどこにも見当たらない。開発時期的には天王洲アイルや恵比寿ガーデンプレイスと被るが、これらと比べても入居している店が圧倒的にダサ過ぎて、こりゃ集客にならんわ…と納得してしまう。そして空きテナントもやたらと多い。

良くも悪くも「90年代そのまんま」な古臭さが抜けないのがオーク200という施設の悲哀である。なぜこんなにダメなのか?という理由については、全くもってこれ以上ないほどに“ごもっとも”な要素がある。

オーク200は悪名高い大阪市土地信託事業の失敗例である

実のところオーク200は「弁天町駅前開発土地信託事業」という大阪市が主導で進めてきた再開発事業である。元々この土地は大阪市が所有していたもので、土地信託事業として開発されたもののバブル崩壊によって収益が悪化、「お役所仕事」ならではの杜撰な経営が災いして赤字垂れ流し状態となり、事業を受託したりそな銀行など3行に637億円という莫大な債務が発生し、銀行各社が債務の負担を求めて大阪市を相手に裁判を起こし、結果、大阪市が全額負担するという判決が出ている。

他にも大阪市は住之江区の「オスカードリーム」や浪速区の「フェスティバルゲート」などでも土地信託事業の失敗で多大な税金をドブに捨ててしまっている。肝心のオフィス棟も空きテナントが多く、仕方なく大阪市の関連部署なんかが入っているのを見ると、これまでの大阪市政がどれだけ滅茶苦茶だったのかがお察し頂けるのではなかろうか。

駅直結かと思いきや、意外に動線が面倒臭いオーク200

オーク200がダメな理由は大阪市の負の遺産というだけではない。パッと見では駅前にそびえている超高層ビルが「駅直結」であろうと錯覚しそうになるのだが、実際はそうではないのだ。まずJR弁天町駅側からのアクセスを見ると、のっけから「国道43号線」と「阪神高速西大阪線」が駅と施設の間をぶった切っている。

そのためJR弁天町駅からオーク200に行くには、国道43号線を跨ぐ歩行者通路を潜るのが一般的な行き方となる。これが駅南口の場合は弁天町駅前交差点の地下道を使う事になるが、この場所は中央大通の頭上を走る「阪神高速大阪港線」も交差している上、国道43号線の一部区間だけが有料道路となっている「阪神高速西大阪線」の僅かな課金を避けて下道を通るケチなドライバーが運転するトラックや大型車両がひっきりなしに往来し渋滞を作る故に年がら年中排ガスが容赦ない。したがって住環境としても劣悪で、住む街としてもおおよそ適さない。

弁天町住民には必要不可欠な国道43号線の下にある地下道も陰気臭さが容赦ない件。気が短い大阪人はチャリンコで地下道に降りるのが面倒なので、自転車横断帯すらない国道43号線をそのまんまピューっと突っ切ってしまうのがデフォである。

この交差点付近と言えば2006年に竣工した54階建てのタワーマンション「クロスタワー大阪ベイ」がそびえているのだが、ここもJR弁天町駅には先に挙げた地下通路を通る必要がある。建設当時は日本最高層タワマンとして君臨していたが、こんな弁天町のような排ガス臭い下町ベイエリアにタワマンを建ててもムサコマダムのような勘違い高級路線化は全くもって起こらないのである。弁天町住民はスーパーナショナルか長崎屋市岡店改めメガドンキホーテで買い物してろってこった。

一方で駅員が早朝深夜帯には無人になるJR弁天町駅北口改札を出ると、こちら側にはオーク200への連絡通路がちゃんとあるにはある。しかし車椅子などが通るスロープの形状が明らかにおかしい件。チャリンコはともかく、これではベビーカーはスムーズに通れない。全くもってクソ仕様である。

しかもこの連絡通路、阪神高速西大阪線の高架を避ける形で中央部分が凹んでいるので、階段を余分に上り下りする必要がある。ここは後付けで車椅子用スロープが付けられたが、無理くり感が半端ない。特にこの先にあるホテルを利用する観光客がデカいスーツケースを引きずって歩くにも、かなり不便を感じる。

「オーク200」から「大阪ベイタワー」へ。大阪ベイエリアに明日はあるのか

そう言えばオーク200の「1番街」はバブル時代のゴージャスぶりを残す、港湾労働者の街・大阪市港区では唯一のラグジュアリーなシティホテルとなっているのだ。「ホテル大阪ベイタワー」と言っていたんですけどね、最近経営者が代わってリニューアルしたようです。

そんな、大阪市港区で唯一のラグジュアリーなホテルにある、いつも地元のお客様で賑わっているイタリアンレストラン「サイゼリヤ弁天町駅前店」です。ご確認下さい。(ここもリニューアルで閉店したらしい)

そんなホテル大阪ベイタワーの一室に入ると、大阪ベイエリアの夜景がこの通り独占できます。かなりラグジュアリー感あるように思えるが宿泊費用は平日閑散期で1万円台、繁忙期でも2万円台とお値打ち感満載。現在は経営者が代わって「アートホテル大阪ベイタワー」となっているが、楽天トラベルなどで見る限り、価格帯が高級化している感じはない。

バブル期の負の遺産だらけとなっている悲惨な大阪ベイエリアが復活するためには、個人的には「カジノの合法化および誘致」しかないと思うんですが如何でしょうか。WTCコスモタワーもとい「大阪府咲洲庁舎」や「アジア太平洋トレードセンター」、建物自体も妙ちくりんでいつまでも買い手がつかない「なにわの海の時空館」もいっその事外国人向けホテルやカジノに活かせば良い。

そして悪名高い土地信託事業の爪痕が残る「オーク200」はいよいよ大阪市の手から離れて、アメリカの投資ファンド(フォートレス・インベストメント・グループ)が買収し、今では所有者が変わっている。名称も「大阪ベイタワー」に変更され、オーク200という名称も消える。観光客の取り込みに民間の手法が取り入れられ、今後はこの地域が大きく変化する可能性がある。これからも注視したい。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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