明石市と言えば現地では玉子焼きと呼ばれる明石焼きだったり、日本の標準時子午線が通る街だの明石海峡大橋(厳密には神戸市垂水区にある)だの、それから原付ユーザーにとっては復活が望まれるたこフェリー(明石淡路フェリー)だのが有名な街だが、明石市単体では特に観光目的で来るような用事も少ない土地柄。そんな明石市の西端、JR山陽本線土山駅の近くの国道2号沿いに、見た目にもほぼ廃墟化している怪しい飲み屋街がぽつんと残っているというタレコミ情報を頂いた。
場所的には明石市と言っても隣の加古川市の方が近いし、JR土山駅は加古郡播磨町に所在している。神戸からでもここまで来るのは結構距離を感じる。第二神明道路の明石西インターで降りてイオン土山店を目印に進むと…あ、ありましたね。
別に駅前という訳でもなく、国道2号と並行する旧山陽道沿いの狭い住宅道路に面して突然ぽつんと末枯れた佇まいのオンボロ飲食店ビルが姿を表す。その名も「赤坂銘食街」。明石の外れで「赤坂」の地名を見るとは意外だが…見た目にも尋常ならざる年季の入り方をしているが、外観も安っぽいトタンのサイディング、場末感極まるスナック店舗の看板が所々抜け落ちた格好となっている。黄色いネオンの電球は夜にはきちんと灯るのかも怪しい。
「パブ&スナック お茶漬 火の鳥」の味わい深い看板。火の鳥をイメージして燃え盛ったような演出が施された粋なフォントも渋い。確かに完全に廃墟という訳ではなく、数軒程度は現役っぽいし、実際にスナックのママも見かけたので、呑もうと思えば呑めるようですよ。
さらに注目して頂きたいのが赤坂銘食街の建物に向き合うように建つ、さらに一回り大きなこちらの建物。もう完全に「軍艦スナック島」状態の凄まじい外観となっている。建築基準法とかそんな野暮な言葉も簡単に超越しちゃってますね。四階建てのようですが既に建物上方は自然崩壊し始めている。
さらに角度を変えて隣接する駐車場から建物全景を拝む。グーグルマップの情報によると「赤坂ビル」と表示される。赤坂銘食街とは一心同体の存在であるには違いない。ただ、こちらは荒廃具合が進んでいて「ほぼ廃墟」といった印象を感じるのは無理もない。今回タレコミをもらわなければ、まず来るようなきっかけもなかった場所ですよ…まさかこんな場所にこんなブツがあろうとは…
コンクリート打ちっぱなしの作りかけビルが放置された後、勝手に継ぎ接ぎしましたが何か?的な無茶苦茶な飲食街ビルの横っ面。サビサビになった各階の鉄の手摺もそれぞれ形状がバラバラである。有名な高知の沢田マンションを髣髴とさせるお姿だが、あんまり丈夫そうには思えない。
各スナック店舗は殆ど「開いているかどうか分からない」といった感じ。郵便ポストの内容物が溢れてはみ出している箇所もちらほら。まあ、やっぱり物件の稼働状況で見ると末期的なのは明らかである。
一体ここにある二軒の飲食街ビルはいつの時代に建造されたのか、いつ頃まで盛り場として栄えていたのか、とりあえずネット上には全く情報が皆無なのでご存知の方はタレコミ下さい。お待ちしています。
建物反対側にはスナックならぬ「お食事処・喫茶」の看板を掲げたまま死亡した飲食店もある。屋号は「一恵」となっております。ここで食べた事のある方も是非当取材班まで情報提供をお願いします。
赤坂ビル側は四階建てで結構なハコになっているので、最盛期にはそこそこの大所帯となっていたはずだ。ビルの間を通り抜けられる通路もあるっちゃあるけど見ての通り真っ暗で不気味である。
炉端焼「源つけ」、こちらの飲食店のみが営業している状況であった。聞き込み可能であればお邪魔したかったのだが、加古川バイパスでクソのような渋滞に巻き込まれて予定時間を大幅オーバーしていたので、結局泣く泣く入店叶わず神戸方面にとんぼ帰りしましたわ。
それにしても明石市や加古郡あたりのため池の多さは目を見張るものがある訳ですが、赤坂銘食街の近くにもご覧の通りため池が広がっている。神戸や姫路の街中と違って気軽に来られる場所ではないが近所にビジネスホテルもあるし、JR土山駅から徒歩10分くらいで来れるので、場末酒場マニアな方は是非挑戦を。