【鉄ヲタ歓喜】鶴見区の激寂れ商店街「横堤本通り商店会」と団地の前の駅名標コレクション

大阪市鶴見区

1990年に開通した大阪市営地下鉄七番目の路線「長堀鶴見緑地線」、その終着駅である門真南駅の近くには日曜限定の中国人朝市やかつての中国残留孤児の子孫が多く暮らす門真団地なんかもあって香ばしいエリアなのだが、その途中にある鶴見区の「横堤」という駅に立ち寄る機会があった。

横堤駅は「花博記念公園」のある鶴見緑地の一つ手前にある駅で、鶴見区役所や鶴見警察署なんかが駅前にあって行政上の中心地域的な役割のある街だが、そう言えば今まで全く来る機会の無かった街でもある。路上に針金が張られるという訳のわからない事件がこの街で起きて、それで気になってやってきたのだが…

イオンモールが近くに出来たら古い商店街が廃墟化したでござる「横堤本通り商店会」

横堤がどんな感じの街なのかは前回のレポートでお伝えしたと思うが、大阪市内でも数少ないイオンモールがあったり街並みが郊外的であんまり大阪市内っぽくないのが特徴的である。しかしこの街にも一応駅前商店街らしきものがある。こちらの「横堤本通り商店会」だ。

地下鉄横堤駅2番出口を上がってすぐの場所にある、紛れもない「駅前商店街」の入口を見て頂きたい。のっけから凄まじく寂れている。大阪市内と言うとどの街も個性のドギツいアーケードのついた古い商店街が強く、街のメインストリートとして栄えている地域の方が大勢を占めているが、ここ横堤だけは別。既に商店街が死んでいる。

この商店街、建築年代的にも周囲の街並みと比べても格段に古く、地下鉄長堀鶴見緑地線が開業する1990年以前からあったものと思われる。ちらほらと未だに営業している大衆酒場や飲食店は見られるが、おしなべて、ものの見事にシャッター通りである。


店の閉店を告げるかしわ屋「小西商店」の張り紙が商店街の悲壮感をより一層盛り立てている。商店街天国・大阪市内にあるくせに滅法元気が無さすぎる。どうなってしまったのだ。

横堤駅前の鶴見通から南に500メートルほどズルズルと伸びている横堤本通商店会。端から端まで歩いてみたが、駅前ですらあの惨状なのにその先が栄えているという事もない。

しまいには商店まるごと廃墟と化している二階建ての住居兼店舗アパートまで出だしたぞ…ちなみにこの商店街の東側を並行する通りにはスーパーライフやら業務スーパー、サンディといったディスカウントスーパー、さらにはドラッグストアまで駐車場付きの広い店舗が揃っていて、こっちの方が栄えている。つまり「郊外」なんですよね、この街って。

気になったのでストリートビューで一番古い2010年のものを見ると「フレッシュマート神戸屋」というスーパーマーケットがあったり、個人商店の数々も現役で、まだ商店街らしい体裁を保っていたので、それと比べると10年足らずの間でこの廃れようは衝撃的だ。近くにイオンモール鶴見緑地があるというのも商店街が廃れる原因としては大きいのだろうが…

今まで何十年も土着民相手に商売してこられたはずの街の大衆中華料理屋ですらぶっ潰れる容赦の無さよ。ともかくまともに飯が食える店すらろくにない程に寂れた商店街なので、期待して来ない方が良い。

…でも、お好み焼き屋の一軒くらいならありますので、炭水化物が恋しくなったら安定の「お好み定食・焼きそば定食」で補給する事くらいならできそうだ。この街ではまだ辛うじて大阪人として生きていく事ができるようだ。

そんな商店街を抜けると横堤の街の鎮守である「横堤八幡宮」が現れる。商店街が救いようもないくらい寂れているが、この地域では今でも毎年7月に欠かさずだんじり祭りが行われる。ちなみに神社の南側を流れる寝屋川から先は、JR学研都市線(片町線)放出駅および徳庵駅の方が近くなる。

寂れ商店街の途中の市営住宅で見かけた「駅名標コレクション」

ところで、この横堤本通商店街の途中で突然商店街が途切れて市営住宅の敷地を跨ぐ区間が存在しているのだが、この一角がちょっと面白い事になっていたので紹介したい。

「大阪市営横堤住宅」と、まあ、大阪市内らしくこの街も市営住宅だらけなんですが、元市営住宅住まいの貧乏暮らしだった当方の経験上、団地の造りを見ている限りどうも「市営」っぽくないのが気になった。

そもそも団地名を記す案内看板が「大阪市」の部分だけプレートが貼り直されているのだ。それもそのはず、この横堤住宅は2015年に大阪府営だったものが大阪市に移管された団地の一つだったのだ。大阪府・大阪市の二重行政解消を目的に、近年は府営住宅の市営への移管が進んでいるらしい。ちなみにこちら、昭和47(1972)年築と、結構なお古なんですね。

しかしそれ以上に気になるのが、そんな市営住宅に面した商店街沿いのフェンスに、どこかで見た事のある鉄道駅の駅名標レプリカがベタベタと貼られている事。市営住宅住民個人の趣味が炸裂しているのか知らんが、団地を管理する大阪市から許可を受けているかどうかを尋ねるのは野暮というもの。ところでこれ、近鉄名古屋線「黄金駅」の駅名標ですね…

さらには近鉄大阪線「大福駅」…奈良県桜井市にあるローカルすぎる駅名標がなぜ大阪の外れのこんな下町の一角にあるのか、謎すぎる…

謎の駅名標コレクションは近鉄線だけで終わる事はない。いきなり北海道まで飛んで札幌市営地下鉄東豊線の始発駅「福住駅」の駅名標まである、この鉄道マニアのこじらせっぷりよ。

東日本の人間には見慣れたJR東日本の駅名標もある。東京都福生市のJR青梅線「福生駅」…福が生まれると字面こそはおめでたいが、東京のアメリカ、横田基地と物騒な呑み屋街がある乾いた街ですよ。

続いて山梨県富士吉田市にある富士急行線「寿駅」も。先程から共通点を見ると「福」とか「寿」とか、験の良さそうな漢字が使われた駅名ばかりコレクションされているのが分かる。お金にも恵まれない、幸の薄い市営住宅住民への励ましのつもりだろうか。

岡山市にあるJR西日本の山陽本線「万富駅」。市営住宅暮らしでも人生一度は一発当てて億万長者を夢見たいのでしょうが、どうせ宝くじやパチンコでなけなしの給料をスッて借金作って永遠に市営住宅から出られない人の方が多いんでしょうな。

最後は愛知県岡崎市にある名鉄本線「美合駅」。これはどういう風におめでたくて駅名標を置いたのか知りませんけども…

謎の駅名標コレクション…「良縁街道百福線」というそうです

この7つの駅名標コレクション、どうやら「良縁街道百福線」という名称がついているらしく、地元商店街が町おこしを図るべく2015年に設置したものらしい。ご丁寧に各駅ごとに最寄りのJR放出駅からの行き方を案内していたりする。つまり、良縁を求めて全国を旅して来いという事でしょうか趣旨がイマイチ良くわかりませんけども、それよりもここ横堤の寂れた商店街に人が戻ってくる事はもう無いんでしょうか、そっちの方が気掛かりですよ。


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