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【壮大な税金の無駄】総工費581億円!雇用・能力開発機構の豪華職業体験施設「私のしごと館」の中はこうなっていた

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この施設が何かを説明する前に、まずは下記のニュース記事をどうぞお読みになって下さい。

【関西の議論】581億円つぎ込んだ勤労体験テーマパーク「私のしごと館」破綻“壮絶な無駄遣い”…タダで譲り受けた京都府知事も絶句 – MSN産経ニュース

2010年の閉館以後殆ど廃墟同然のまま放置されて、買い手を待っていたものの誰も買わず、結局国から京都府にタダで譲る事になったという話になっていたようで。凄いオチだな…

精華町 新祝園

「私のしごと館」を知らない方に今一度この施設について紹介したい。厚生労働省の所管機関である「雇用・能力開発機構」によって2003年10月、京都府相楽郡精華町にある関西文化学術研究都市の一角に総工費581億円を掛けて華々しくオープンした、職業体験テーマパークである。

公金581億円も注ぎ込んだ国内最大級の「税金の無駄物件」

精華町 新祝園

私のしごと館が建設された根拠は雇用労働法により定められている雇用保険事業の一環で「若年者の失業予防のための事業」、という事だが、問題なのはその建物のあまりの過剰投資ぶり。まるで一国を代表する国際空港のそれを思わせる巨大な建造物である。全国各地にある糞怪しい新興宗教団体の総本山でもここまで立派ではない。

精華町 新祝園

そもそもこの「関西文化学術研究都市」(以下、学研都市)という場所にやってくるまでが大変だ。車があれば大阪や京都市内から片道1時間程度で来れるが、最寄りの鉄道駅である近鉄けいはんな線の学研奈良登美ヶ丘駅もしくは近鉄京都線新祝園駅・JR学研都市線祝園駅からバスかタクシーを使う事になる。住所は京都府だが精華町の位置は奈良市の外れといった感じ。地元民にとっては素で「奈良にある」と思われている。

精華町 新祝園

雇用保険事業の一環にある職業体験テーマパークという性質上、職業訓練校の延長線上にあるお固い施設だというイメージがあるが、実際は親子連れの来場者ばかりで、キッザニアみたいな使われ方をしている訳だ。この辺のコンセプトの曖昧さも運営を苦しくしていた原因の一つかも知れないね。今になって思えば。

精華町 新祝園

まず入館料700円を払って、それから仕事体験コーナーにそれぞれ利用料を払って参加するという流れ。連休時は結構早めに予約が埋まったりする。決して客が来ずガラガラでダメでしたという訳ではない。平日の様子は知らないけどね。

精華町 新祝園

2003年10月4日にオープンしてから赤字運営が続いていて、駐車場を有料化したり2008年からは事業を民間委託するなどしていたが、収益の改善が見込めずに結局2010年3月末日に閉鎖。プレオープン期間を含めると7年間運営していたが、厳密には6年と5ヶ月である。

精華町 新祝園

毎年捻出していた維持費用は「私のしごと館」本体からの収益が僅か1億少々、さらに事業主が収める雇用保険料から出る運営交付金が10数億、それに対して出費は毎年20億円以上あったので、どうあがいても赤字体質から抜け出せない。そのうち国の事業仕分けの対象になって廃止が決定された訳だ。

「しごと探索ゾーン」展示されている機材・備品は全て本物だが、展示方法に問題アリ

精華町 新祝園

「しごと探索ゾーン」と銘打った展示ゾーンには様々な業種の職業において使われる機材や備品の数々が惜しげも無く展示されている。プロはこんな機材を使って仕事をしているんだよ、どうだ凄いだろ、君もプロになってみたいかね?と職業への興味を誘うのが目的となっているそうなのだが、やはりここもズッコケ感が半端ない。

精華町 新祝園

素人目には何の為の機材なのかさっぱり分からない工作機械部品っぽいものから何から何まで、難しい漢字と専門用語混じりの説明文で書いてあるのでお子様には理解不能なものばかり。来場者の殆どが素通りしてしまい、とっとと次の職業体験ゾーンに移っていくのがオチである。

キッザニアと比べると「お堅い」超リアル職業体験テーマパーク

精華町 新祝園

職業体験コーナーはオフィスワークからブルーカラー系、宇宙飛行士からニュースキャスターまでかなり多種多様に及んでいる。キッザニアと比べると、やっぱりお役人が作っただけあって全体的に雰囲気が堅くて、社会人の現実をより切実に感じられる分、職業体験のクオリティとしてはかえってリアルだったのかも知れない(笑)

精華町 新祝園

ニュースキャスター体験コーナーも本物のテレビスタジオそのまんまですからね。どこまで本格的なんだろうかと。ここもお役人テイストで雰囲気もどこかNHKっぽい。実際の現場は容姿端麗な美人キャスターがいるからテンションが上がるもんで、素人のおばちゃんがやっても全然面白くない。

精華町 新祝園

ここでは中年職員が裏方のAD役をやったりとかしてるんですが、私のしごと館には機構の職員が27人常駐していて、この人達の年間給与だけで「2億4千万円」も支出していたらしい。1人当たり平均年収890万。人件費が物凄い。贅沢なニューススタジオだなあオイ。

精華町 新祝園

アナウンサー体験コーナー。体験料を払ってあなたもNHK風情報番組のアナウンサー気分を味わえる。やらされてる感半端ない。これを体験したからと言ってアナウンサーになりたいとも思えないし、学歴と容姿のハードルもあるし、世の中そんなに甘くはないんですよ。

精華町 新祝園

実用性ほぼ皆無な宇宙飛行士体験コーナーも設備がJAXAもビックリの本格仕様。子供達には人気が高い「将来になりたい職業」の一つかも知れないが、私のしごと館じゃなくてJAXAにでも連れて行ってやればいいのだという話。

精華町 新祝園

大型クレーンを操縦する体験コーナーもビジュアル的には子供達の人気が高い。だがガテン系のお仕事は危険も常に付きまとう。もっと本格的にニッカポッカでも履かせて道路工事でもさせてみてはどうか。職業体験チケットの入手は早朝から寒空の下で行列させてみたら日雇い労働者の職業体験にもなる。

精華町 新祝園

よく時給千円ちょっとの高卒派遣労働者が従事している「クリーンルームでの精密製品組立作業」体験コーナーもありますよ。クリーンスーツを着て手袋はめて、エアシャワーを通って、という一連の流れは多分省いている。職員はフツーの格好してるんだもん。

精華町 新祝園

しかしどこを見回しても揃えてある機材は超一流。これだけ本格的に職業体験施設を揃えていたのにたったの6年ちょいで閉鎖する前にもう少し他にやれる事無かったんでしょうか…って、無かったんでしょうね。精華町自体どこから来ても遠すぎるし…

精華町 新祝園

今から思ってみても決して私のしごと館が流行って無かった訳ではないし、高額過ぎる職員の給与や箱が巨大過ぎてメンテ費用が無駄に掛かる事など少し収支構造を考えてから作れば潰さずに済めたと思うんですがね。厚労省の役人達は税金を打ち出の小槌か何かと間違えてたんですかね。

職業別サラリーマン等身大人形「一体350万円」の怪

精華町 新祝園

職員別の等身大人形やフィギュアが多数置かれたコーナー。人形の制作費は高いもので「一体350万円」という呆れた高コストっぷり。人形一体作るだけで彼らの年収分行きますよね。こんだけ金出したらオリエント工業の最高級リアルラブドールが何体買えると思ってんだよ。

精華町 新祝園

これらのしがないサラリーマン人形達は閉館後は別の施設に引き受けられたりして第二の人生を送っておられるようです。他にも古文書の保存が可能な燻蒸庫が一度も使われずに放置されていたり、とにかくやってる事が無茶苦茶。

精華町 新祝園

誰がお金を出して買うのか皆目見当がつかない、私のしごと館オリジナルDVD「しごとライブラリー」。各巻一本6,825円、シリーズ5巻26,250円、30本セットで141,750円となっております。高けぇ…

精華町 新祝園

だだっ広いスペースを割いて置かれた図書コーナーもかなり早い段階から閉鎖に追い込まれていた。しかし全国探しても、これだけ無駄遣いのオンパレードが容赦無い施設はそうそう見当たらない。

精華町 新祝園

これだけの巨大な施設、民間の引受先をいくら探してもそりゃ誰も手を挙げる奴は居ないだろう。ここを運営していた独立行政法人「雇用・能力開発機構」も、私のしごと館が閉鎖された1年半後の2011年10月1日をもって廃止された。

タダで施設譲渡された京都府も使い道に困り果てている

精華町 新祝園

そんな「私のしごと館」も京都府が無償譲渡を受けて、一刻も早く無駄を出さない「何か」に作り変えようと手をこまねいている。その何かがよく分からんのだが、もはやカルト教団くらいしか買い手が付かないんじゃないのか。学研都市のお荷物と化した旧私のしごと館の今後を再び見守っていく事にしよう。

精華町 新祝園

また旧私のしごと館のそばには国立国会図書館関西館もあって、これも素晴らしい施設だが場所が不便過ぎて宝の持ち腐れになっている感が否めない。けいはんな線を延伸するなり、もう少し何かやった方がいい気がするんですが…

旧・私のしごと館

廃業
京都府相楽郡精華町精華台7-6

京都府相楽郡精華町精華台7-6

<追記>「私のしごと館」の建物は京都府に無償譲渡された後「けいはんなオープンイノベーションセンター」という施設に生まれ変わったそうです。とりあえず無駄なまま解体されず第二の人生を歩めそうでよかったですね。

京都「私のしごと館」閉館から7年…今では先端技術の拠点に – 産経ニュース


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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