和歌山の繁華街、ぶらくり丁のアーケード商店街を引き続き歩き回る事にする。ほんまち通りのフォルテワジマ(旧丸正百貨店)から始まるアーケード街をずずーっと東に向けて歩いて行くと、築地通りと交差する前後の部分が「中ぶらくり丁」となる。
中ぶらくり丁のうち、築地通りの東側に入ると、大門川に架かる雑賀橋までのわずか50メートルしかない短いアーケード街となる。まるで生駒のぴっくり通り並みに短い。
このわずかな区間のアーケード街に結構個性の強い物件が並んでいる。寂れっぷりが容赦ない旧丸正百貨店付近とは対照的に、どこか威勢のよさが残った一画だ。何故かゲームセンターやアニメやテレビゲーム専門店が密集していて、子供とヲタ率が妙に高くなる。
とりわけ客で繁盛しているのは「鉄道忘れ物市」。どこぞのリサイクルショップではなく鉄道の忘れ物を扱う店。こういうのって、期間限定で百貨店とかに出店するものだが、常設店舗でやっているというのは珍しいような気がするぞ。
あと目に付くのはX JAPANのhide(故人)のファンで、難病で夭逝した貴志真由子さんの親族が経営している喫茶店「レモネードカフェ」だ。東京北千住の尾崎ハウスみたいなものかも知れんが、実際にhideと親交があって曲(MISERY)まで出来たのだから思い入れが違う。hideを知る人間にとっては聖地みたいな場所だろう。話には聞いていたが、この場所にあったとは。
そんな商店街のアーケードを南側に外れると「銀座通」というベタな名前の飲み屋街の路地が現れる。
細い路地の両脇にスナック・居酒屋がある程度固まっているが普通の民家も混じっていたりして、微妙な感じが否めない。銀座通というのは名前負けしているような感じがする。それでも昔は和歌山の中の銀座だったのかも知れん。
派手な色遣いの外壁に「いろは劇場」と書かれた看板があるので一瞬ピンク映画館か何かと勘違いしたがこれも普通の居酒屋だった。この店だけは銀座通の名前に負けていない気がする。
居酒屋横丁の路地に立てかけられたキリンラガービールの立て看板が和歌山弁丸出し。「つれもて飲もら、キリン!」と言われても同じ関西出身なのに全然聞き覚えのない言葉で困惑してしまいそうになります。やはり和歌山は関西のガラパゴスなのです。
路地に連なる酒場の建物の中にも赤線地帯を彷彿とさせる装飾がついた年季の入ったものがあり、それなりに情緒がある。
案の定だがぶらくり丁の衰退とともにこの銀座通も寂れつつあるようで、なんだか気の毒なようにも思える。
空き地や廃業した店舗、路地の片側がごっそりコインパーキングになった場所もあって、ここでも中心市街地の空洞化を実感する。
寂寥感に満ちた和歌山における「銀座通」の路地を抜けると左手には大門川を挟んで怪しさ満開のソープ街が広がる。和歌山一の夜のお楽しみスポットのはずなのに廃業した店だらけで寂しくてしょうがない。