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尼崎市の外れの陸の孤島!神崎新地とウチナーンチュの街「尼崎市戸ノ内町」を歩く (全2ページ)

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大阪の裏名物でもある飛田や松島などの「新地」の歴史を紐解くうちに「神崎新地」という場所の存在を知ったのだが、いかんせん場所も遠い上に壊滅してしまったと聞いていたのでなかなか足が向かなかった。

その場所は大阪市西淀川区、豊中市と境を接する兵庫県尼崎市戸ノ内町。地図で見ると何とも微妙な立地で、猪名川と旧猪名川、それに神崎川と3つの川に挟まれた三角州になっていて、橋を渡らなければどこに行く事も出来ず、北側に繋がる唯一の陸地も阪急神戸線でぶった切られている。

尼崎市に属する割に普段の交通便は大阪市側に出る毛斯綸(モスリン、綿や羊毛の織物の意)大橋の方が近く、ちょっとした飛び地状態になっている変な場所だ。鉄道駅の最寄りも毛斯綸大橋経由でJR東西線加島駅に出るのが一番近い。

戸ノ内町には尼崎市交通局のバス路線があって阪急園田駅や阪神尼崎駅からもアクセス可能であるが、尼崎市全体から見るとこの土地はかなり外れの方にあるし、西淀川区とも豊中市とも外れている。まるでエアポケットのような場所。

戸ノ内町三丁目にあるゴルフ練習場「グリーンアリーナ神崎」は戸ノ内から大阪市側に通ずる毛斯綸大橋というけったいな名前の橋の由来となった旧毛斯綸紡織株式会社の工場跡地に建っている。この毛斯綸紡織という会社は大正末期に出来たもので毛斯綸大橋も会社が建てた橋だったのだが昭和初年に倒産、その後ずっと橋は大阪市が管理している。

毛斯綸紡織倒産後は鐘紡が経営を引き継いで戦時中は航空機工場に転用されたが空襲で壊滅、戦後も現在の戸ノ内町四丁目、五丁目を中心に沖縄出身者が生活の糧を求め移住してきたり、さらに戦後に尼崎駅近くの難波新地の青線が集団移転してちょんの間地帯「神崎新地」が出来たという実に濃ゆい歴史を持った土地なのだ。

そんな戸ノ内町の街並みを見るべく訪れた我々取材班、モスリン橋交番の北側の四つ角に沖縄一品料理の看板を掲げる居酒屋を発見する。ここ戸ノ内は現在も沖縄出身者の子孫がかなり多く、狭いエリアながら沖縄料理店も非常に多い。そもそも大正区の次に沖縄出身者が多いのが尼崎市だしな。

神崎新地があったから、沖縄出身者が酒好きだから、ゲットーに酒は必要だからのどれかは知らんが街の規模に対してスナック等の呑み屋はやけに多い。こういうとこなら本場の泡盛も飲めそうです。

鄙びた食堂や居酒屋ばかりと思ったらこんなイカす外観の純喫茶まであるという戸ノ内の奥深さ。でも店自体営業してなさそうですけどね。昔はもっと栄えてたのかな。

戦前から毛斯綸紡織の工場労働者としてやってきた沖縄出身者が多かった戸ノ内は戦後も阪神工業地帯の傍らの工場街として発展する。したがって現在の戸ノ内も住宅地ながら半工業地帯の様相を呈している。

このへんでは普通の一軒家と並んで金属電気関連の町工場が至る所で見られる。大阪都市圏自体が町工場で栄えてきたのだから、この風景はその一端とも言えよう。住所は兵庫県尼崎市だけど殆ど大阪市内同然。

町工場がずらりと並ぶ長屋兼住居も珍しくない風景だ。琉球ゲットーの趣きが強い街だが今では二世三世がメインだし町工場で見られる苗字なども別に珍しげなものも見当たらない。

なんだか昼間からでも殺伐感が否めないハードボイルド地帯だが別段怖い目に遭う事もありません、普通の下町です。

町工場以外にも妙に立派な事務所風のビルやらもあるようですが、なんの事務所なのか深入りする気にはなれませんでした。

そしてまたやけにゴツいビルディング、ビルの表札には政治結社とかなんとか書かれてるんですが気にしない気にしない。

しかしその一方で行政の塩漬け土地が歯抜け状態であちこちに見受けられたりあまり健全な土地の使われ方はしていない模様。その手の事務所も多いし、まあ色々修羅場を潜り抜けてきた土地のようである。

尼崎市のサイトで見られる資料によると、戸ノ内が沖縄人街になった始まりは昭和5~6年頃で、現在で言う西成区に住んでいた沖縄出身者が養鶏場の敷地を求めて戸ノ内の河川敷に移住したり、練炭の材料などを製造していた同じく沖縄出身者の業者も周囲の苦情から移り住んできた、とある。

とりあえず街の雰囲気だけは分かったが肝心の「神崎新地」の跡はどこにあるんだろう。もう少し歩き回る事にする。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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