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飛田新地の料亭「鯛よし百番」に行ってきました (全2ページ)

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日本最大にして現役の「遊郭」である大阪市西成区の飛田新地。大正時代に開かれた遊郭は戦後の売防法施行を経てちょんの間料亭街として今に続いている。夜ともなるとスケベ男連中が街に繰り出し数ある「料亭」の玄関先に陳列された遊女を品定めする…そんな異界の片隅に店を構える「鯛よし百番」はこの飛田新地の中で唯一「ちゃんとした料亭」として営業している。

戦災を免れ、飛田遊郭発足時の佇まいを今に残す「鯛よし百番」もまた遊郭建築の一つで、その建物は遊郭というジャンルの建物としては珍しく1999年に文化庁登録有形文化財の指定を受けている。周囲はとても写真撮影が出来そうにない場所だがこの建物だけは別である。

鯛よし百番は昭和33(1958)年の遊郭廃止後、飛田新地の一角にある酒屋「みつわや本店」の社長が創業し関西一円に100店舗近い居酒屋チェーン店を展開する「百番グループ」の看板店舗となっている。夜になると建物二階の赤提灯が点り怪しい風情を醸し出す。

大門より最も遠く最も格式が高い事を示す「百番」の屋号は飛田遊郭の最上級店として君臨していた。当時の豪華絢爛な遊郭の佇まいの中で宴会料理を召し上がる事が出来る店である。だがこの鯛よし百番は「完全予約制」、ふらっと来ても店の中に入る事は出来ない。

今回は事前に電話予約の上でやってきた。玄関の自動ドアを開けると左手にはかつて遊女が陳列していたであろうひな壇がそのまま残されている。すなわち顔見世の間であり遊客はここで夜のお相手をしてくれる遊女を品定めしていた訳だ。今の飛田新地もそんなにシステムは変わりませんけどね。

玄関を上がって左手にはロビーと厨房、そこに置かれているのは日光東照宮の陽明門を再現したもの。実物とは幾分作りが異なるが職人芸は紛れもなく本物。当時でこれだけのものを作るのにいくら金掛けたんだよ。陽明門を模して作られた門は未だかつて鯛よし百番と北九州の楠橋城の他に存在を知らない。

建物の中に収まるように設計されているので当然かなりミニチュア版だがそれでもこの迫力。沢山の獅子が駆け回る豪勢な飾り、金箔がふんだんに使われていてゴージャス感を演出している。客はさぞかし殿様気分、徳川家康にでもなったつもりか。

陽明門を潜った先にはこれまた有名な左甚五郎の作品、東照宮の眠り猫が再現されている。保護のためか網が被せられていてそのままの姿で拝めないのは残念なのだが。

んで、その奥は「日光の間」となっていて、前時代的なヤクザ屋の応接間にありがちな古いソファーとテーブルが昭和を感じさせていた。

そして入口側の壁には徳川の葵紋までご丁寧に彫られているという念の入れよう。これだけ見るとテレビの水戸黄門のテーマソングが脳内再生されるんですが。人生楽ありゃ苦もあるさ。遊女にとっての遊郭は常に「苦界」であった訳だが…

登楼を果たした後、これから起こる展開にワクワクするかつての遊客の心の中を見透かしたかのような絵が壁に描かれている。ふわふわと天女が舞っておりますよ。

豪華な欄間飾りの黄金色を眺めると目がチカチカしてきた。遊郭時代には待合室か何かだったんでしょうかねえ…という妄想を繰り広げていたが店の女将さんに先にお食事にされてはどうですかと催促される始末。

ロビー側にある二階への階段は京都の三条大橋を模した擬宝珠のついた朱塗りの欄干があしらわれていた。客が少なかったので二階部分は真っ暗だった。

それから現在使われていない東側の勝手口付近。大正時代の建築物特有のモダンさが漂う天井レリーフが残る。しかしあんまりはしゃいでいると女将さんに急かされる。そろそろ部屋の方に参りましょうか。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。
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