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全長1キロ巨大高架下建築「船場センタービル」とケンカ商法の激安衣料店はいま

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「天下の台所」「東洋のマンチェスター」「商都大阪」などと日本の代表都市として大阪はその時代ごとに誇らしげな異名で呼ばれ続けてきたが三セク行政による財政危機や東京への一極集中で勢いを無くして久しい。しかし近年はうめきた再開発やらあべのハルカスやらマルハン韓流ビル(笑)だの景気のいい話題も出始めてきた大阪の街。ところでやってきたのは大阪のオフィス街船場でございますよ。

船場という地名は駅の名前にはないので他地方の人間からすると今ひとつ掴みどころに欠ける印象があるかも知れない。南北は土佐堀通から長堀通、東西は阪神高速1号環状線に囲まれた内側の碁盤の目を船場と呼ぶ。言うまでもなく大阪の商業の中心。

特に中央大通沿いの阪神高速高架下に長さ1キロに渡って万里の長城の如く築かれている商業施設「船場センタービル」は高度経済成長期の真っ只中、大阪万博が開催された1970(昭和45)年、商業都市大阪の威信を掛けて建てられたものだ。当時は最先端ぶっていただろうが、さすがに時代を感じさせる。船場セ「ソ」タービルになっとるし。

船場センタービルは1~10号館に分かれていて、堺筋と御堂筋の間にある4~9号館は繊維問屋街、堺筋から東側の1~3号館はインポートマーケット、御堂筋から西側の10号館は通常のショッピングモールで構成されている。それぞれ地下には飲食店街もあり、オフィス街で働くサラリーマンの胃袋を満たす供給源となっている。

大阪万博開催と同年、この船場センタービルが出来た当時の日本ほどイケイケドンドンだった時期もなかっただろうが、それから40年以上が経過している。案の定、船場センタービルの中を見るとかなり旧時代的な佇まいで、垢抜けない個人商店が中心であんまり買い物客もいないしとても景気が良さそうには見えない。

船場センタービルは地下街直結で大阪市営地下鉄の本町駅もしくは堺筋本町駅の改札を出入りできる。大阪は伝統的な市営モンロー主義とやらでこのへんの都市開発は全て大阪市が牛耳っている訳で、船場センタービル自体も市の外郭団体である大阪市開発公社の持ち物だし、すこぶるお役所的なんですね。その体質が後々の財政危機をもたらす事になろうとはこの時代の人達は考えても居なかっただろう。

地上階だけ見るとなんとも微妙な感じの場末感を放った商業ビルとなっていて大阪駅前なんとかビルに匹敵する煤け具合を見せる所もある。まあでも大阪ほど地下街が発達した街はありませんから地下のレストラン街に行きましょう。そしたらサラリーマンで繁盛してまんがな。

船場センタービル地下街は商都大阪の胃袋を支えるサラメシ天国である。居酒屋のランチメニューなども500円ワンコインで食えるのは当たり前。どの店も凄く繁盛しまくってる。

どれにしようかな、と目移りする事必至。うどん定食でもカツ丼でもトンカツでも500円から600円ですからね。これだけ食い物屋が多いと自ずと競争原理が働くのでどの店で食っても外れは無さそう。

そういう訳で地下街だけは綺麗にリニューアルされて「船場女将小路」だなんていう小洒落た横丁っぽい一画もある両極端さ。いっその事地上階も飲食ビルにしてしまえば儲かるんとちゃいますか。

年末仕事納めも近い頃に出向いた訳だが、どの店も混んでいて飯を食うのも一苦労しそうである。あ、こんな所に雰囲気の良さげな純喫茶がありましてよ。

そこにあったのは正統派な純喫茶「三輪」であった。店の外からも見える旧時代的な真紅のソファーやゴールデンな内装にそそられる事この上なし。だが中年サラリーマンが見事に占領していて空きがなくて入れませんでした。ポマードの臭いがしそうな昭和全開な物件だ。

9号館の地下から4号館までのそのそ歩いてみたけど相変わらず飲食店が多い多い。とてもハイテンションな地下街です。なお、5~8号館の地下2階は駐車場になっている。

そしてこの「グルメのまち」と書かれた鏡張りがまたレトロ感を強めている。こんな空間が1号館から10号館の地下に延々と連なっているのだろうか。凄いぜ船場センタービル。でもこれでレポート締めたら何のオチもない。来た道を戻って10号館に行きましょう。

御堂筋から西側にある最果ての10号館。ここにはテレビ等で何度も紹介されてある意味有名過ぎる存在となった激安衣料店がある。今でも営業してるんですね。ちょっと入ってみましょうかね。

御堂筋側の入口から入ってすぐ、やや寂れた感じがする1階ショッピングフロアの片隅にその店はあった。「激安ランジェリーのファンデ」である。見た目はどこにでもある下町の衣料品店的な佇まいだ。しかしこの店は少し勝手が違う。

確かに激安な値段表示がついた商品がダンボールに積まれて陳列されているのが見えるのだがその傍ら目立っているのがくどい程の注意書きの数々。「見た後キレイに」云々…

この「ファンデ」はかつて大阪激安伝説の1ページを刻み一世を風靡した店だった。その肝となるのが「ケンカ商法」と呼ばれた、店主のオバチャンのよる容赦ない客への威嚇ともとられる態度の数々。「客を選ぶ店」として有名で、あれこれ書かれた注意事項が守れない客は「客ではない」として追い出してしまうという恐怖の店でもあるのだ。

マナーの悪い客をけんもほろろに貶しまくる注意書き。ノータリンって(笑)試着禁止はもちろん包装一切なし、購入後の返品もなし、がさつな人はお断り、子供連れ、男連れもお断り、日本語の不自由な日本人および外国人もお断り。これだけ客に注文を付ける店も珍しいだろう。安く売る代わりに客はルールを守りなさい、という方針である。「お客様は神様です」の真逆を地で行っている。

まあ「ファンデ」がこうなってしまったのも大阪人のマナーの悪さが反映されての事だと思うしその主張には一理ある。激安を謳うとどうしてもDQN貧民が寄り付くだろうし、頭を痛めた事があったかも知れない。一時期はその営業姿勢が支持されて1日の売上は1500万円を稼いでいた事もあったそうだが、すっかり時代は変わり今では1日の売上が10万円に。まさに閑古鳥が鳴いている。「しまむら」だの何だの大型激安衣料品店が普通になってしまいましたからな。

 

ファンデが入居する船場センタービル10号館は寂れ具合が酷く店舗テナントもぼちぼち穴開き状態になっている。そんな中で韓流ショップが出来ていた。んなもん鶴橋だけでええやろ…ちなみに船場センタービル自体も老朽化もあって解体予定の話が出ていたり、外壁リニューアル工事をするなど色々と情報がある。新大阪のセンイシティも建て替え工事が進む中、このビルの将来もどうなる事か、今後も見守って行きたい。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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