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天王寺寺町巡り (5) 勝鬘院愛染堂・口縄坂

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上町台地にかかる坂を登ったり降りたりしながら天王寺の寺町を縦断していった訳だが、そろそろ疲れてくるのでこの辺で一息つきたい所だ。愛染坂、口縄坂、学園坂と北へ進むとその先は生玉町。寺町とラブホ街が斑模様に入り組んだ怪しい街へ続く。
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大阪星光学院北側の愛染坂を登った所に勝鬘院愛染堂がある。四天王寺と同じく聖徳太子が開いた施薬院に起源を成すという歴史の深い寺。境内への入口となる薬医門は東大の赤門になぞらえて学問成就の縁起がある。


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愛染明王を本尊とする愛染堂は地元では「愛染さん」と呼ばれる事が多く、山門前に置かれた立て看板にも愛染さんの表記がある。生國魂神社は「いくたまさん」、石切神社は「石切さん」と関西は神社仏閣に「さん」付けするのがたいそう好きなようだ。
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近所には星光学院に清風高校、大教大付属天王寺中高、府立天王寺高校と軒並み高偏差値の名門校が密集している土地柄。薬医門を潜ってここに合格祈願に訪れる参拝者の姿もいるとか。おしなべて下町で低学歴低収入がデフォである大阪市内において上町台地は特異な存在だ。
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参道の向こうには聖徳太子が創建した後、信長に焼き払われ、徳川二代目将軍の手で再建された金堂(大阪府指定文化財)が姿を現す。四天王寺と肩を並べる由緒ある寺だがこっちは観光客も少なく、やたらと静かな境内である。
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傍らには国指定重要文化財指定の多宝塔。こっちも信長に焼かれているが後に秀吉が再建している。築400年以上にも及び大阪市内最古の木造建造物だ。
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本尊の愛染明王は縁結びと恋愛成就のご利益で知られている。つまり婚活女子が「パワースポット(笑)」などと浮ついた表情で参拝しに来そうな要素盛りだくさんなのだが、境内はそんな如何にも感が漂っている訳でもなく、いたって平然。
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無節操なパワースポットブームで近年この愛染堂も雑誌で紹介される機会が増えている。境内にある「愛染かつらの木」と「愛染めの霊水」がパワースポットらしく、これらを目当てにする婚活女子が増加中のこと。
東京浅草の今戸神社みたいな痛絵馬が大量の掲げられているのかと思い見回しても無かったが、その代わり間抜けな顔ハメ看板があった。
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さらに愛染堂を出て北側に向かうと今度は口縄坂という坂がある。今までの坂とは違って道幅も狭くどこか陰鬱な雰囲気が漂う場所だ。口縄というのは蛇の古語だが、厳密には関西から九州あたりまで西日本一帯の方言らしい。坂を下から見ると蛇のようにうねっている様からその名が付いたそうだが、見た限り真っ直ぐである。
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坂の周囲は全て小規模な寺院で固められていて、どこからどう見ても寺町以外の何者でもない。東京で言えば紛れもなく谷中あたりのポジションである。しつこいようだが上野と天王寺は似ている。
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傍らにある善福寺の山門。
「子どもをおこるな来た道じゃ 年寄り嫌うな行く道じゃ」
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行く道は木々に覆われ昼間でも日光が当たりづらい。大阪市は有史以来「大坂」と名乗ってきた割には坂も少ないし自然環境が極めて少ない都市だが、その中でも上町台地の寺町は僅かに残る例外であると言える。
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寺の墓地となっている道の両側からは鬱蒼と木々が生い茂る。目の前を野良猫が通り過ぎていった。どうしても京都と見間違えるが、ここは大阪だ。
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坂の途中に何かが祀られた祠がある。左右の石柱には「楽天地北横」「八島洋食店」の字が書かれていた。楽天地とは大正から昭和初期までミナミ千日前にあった「楽天地」の事だろうか。後に跡地が大阪歌舞伎座になり、火災で大勢の死人を出した千日デパートとなった因縁深い場所だ。
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坂を上がりきった所に「夫婦善哉」で有名な織田作之助の文学碑がある。ひとまずこの辺で寺と坂巡りは終了。
上町台地に沿って広がる天王寺の寺町にある坂は「天王寺七坂」とも呼ばれ、北側から順に真言坂(生國魂神社近く)、源聖寺坂、口縄坂、愛染坂、清水坂、天神坂、最後に逢阪(一心寺前)となる。今回はそのうち5つを巡った事になる。
地元の大阪人も観光客も一度くらいは散策に来る価値がある道だと思うが、あまりにも知られていないのが現状のようだ。京都なら訳も分からずに寺巡りして有り難がるくせに大阪はたこ焼きとお好み焼き食うてオシマイなんてそら往生しまっせ。
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口縄坂を登った先にある文化住宅入口の注意看板。不動明王が「ゴミホルナ」と怒ってはります。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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