この記事を人に教える

関西学研都市ダメポツアー (3) 私のしごと館

この記事を人に教える

【キュレーションメディア等、他サイトへの記事中の文章・画像無断転載厳禁】

特にゾーンIで目立つのが、部屋の中央に並ぶ巨大な構造物の存在。その構造物の入口付近で、またしても暇そうに立ち尽くしている職員の女性2人が所在無さげな表情でこちらに声を掛けてくる。只今待ち時間ゼロで体験して頂けます、だって。

この構造物のテーマは「社会の基盤を支える人々」。普段は目にする事の出来ない場所で仕事をする人々の姿が見られるというコーナー。自動扉が開き、その中に入ると、エレベーターで「仕事現場」までウィーーーーン、ガタンゴトンなどと言いながら上がって行くのだ。これ、実際にはエレベーターではなく、ただ地面がぶるぶる震える装置のついた部屋というだけの話だが。

トンネル掘削作業

関西学研都市レポートの続編です。始めからお読みになりたい方はこちらからどうぞ

そんな感じで、高圧電線の上での高所作業、地中に潜ってのトンネル掘削作業、海底での溶接作業の3つがジオラマとビデオで上映される仕組みになっている。その間、ぶるぶる装置の部屋を4つも通り過ぎる事になる。この装置だけで一体いくらの費用が掛かったのだろうか。

外に出ると、高圧電線に取り付けられる巨大な碍子や、トンネル掘削で使われるカッターの刃などが展示されている。
随分見た目で期待した割には、やっている内容はNHKの教育テレビを見ただけで十分な内容で、わざわざ巨大構造物を作る事の意味が分からないというのが感想である。

しごと体験ゾーン

さて、次は「ZONE II しごと体験ゾーン」だ。

ここからはいよいよ、私のしごと館の最もメイン部分になる、職業体験コーナーがズラリと並んだ空間が待っている。

伝統工芸を作ろう

伝統工芸を作る体験ができるコーナーがゾーンIIに入った先にある。やはり手軽にものづくりが体験できるのは有難い。だだっ広い「私のしごと館」で数少ない人気体験コーナーと言っても良いだろう。

京都市内から1時間掛かる場所だが、一応京都府にあるので、京都らしい伝統工芸である清水焼、西陣織、京友禅、京漆器、京象嵌、京版画などの体験コーナーもあれば、大阪唐木指物、大阪泉州桐箪笥、大阪欄間、奈良茶道具、奈良筆など、「京阪奈」の伝統工芸体験のデパート状態である。これらが全て1体験300円から1000円。

だが雇用保険宮殿「私のしごと館」の本領はそればかりではない。本物の職業のプロが使用する機材をそのまま使用した職業体験コーナーがズラズラと現れてくるのである。

新聞記者のしごと

こちらは新聞記者の仕事コーナー。あまり人気がないのだろうか、体験受付自体を行っていなかった。
その他、人気のない職業体験コーナーは「本日は体験を行っていません」の表札が掛かっているのみ。

テレビ局のしごと

こちらはテレビ局のニューススタジオをそのまんま再現したTV局のお仕事コーナー。いやはや、ここまでやっちゃいましたか。参りました。
素人さんがニュースを読み上げたりレポートしたりします。
面白そうなので参加してみました。1回300円。

ニューススタジオを再現

最大1回10人までの参加者が、キャスター3名、レポーター1名、マイク・ミキサー各1名、カメラマン2名などに振り分けられ、ニュース番組を担当する。機材は本物。かみまくりで大人気、NHKの畠山智之アナの気持ちが良く分かる仕事です。

最高の機材を揃えているだけに、職業体験コーナーのクオリティはどれも素晴らしいのだが、それだけに職員のテンションが低すぎるのが目立つのである。動きが緩慢で、どっから見ても「天下ってきました」風の雰囲気全開の初老のスタッフに囲まれたテレビスタジオは民放どころかNHKですらあり得ない。

スタッフは明るくなければね。そこが楽しんで職業体験できるかどうかの重要なポイントである。
それと、ニュース原稿を持ち込んで読ませてくれれば凄く楽しいはずなんだが。どははは。

クレーンの操縦

2階に上がると巨大なクレーンがででーんと立っていて、建設機械オペレーターの仕事があるかと思いきや、その隣は「介護の仕事」。

近付くなり、中からとても暇そうなオバサン職員がやってきて声を掛けられた。「体験をご希望ですか?」いや、まだ何も興味を示してなかったのに。話を聞いてみると、どうやら予約不要の無料体験コーナーを設けているそうな。そういえば入口でもらったパンフに書かれていたような。

無料ならばやってみるか、と思い体験を希望。2つの車椅子があり、1人は自分で車椅子を操縦する側。1人が要介護者役として車椅子に座り、1人が操縦し、狭いスロープの通路を壁にぶつけずに進む訓練がある。

宇宙飛行士のしごと

他には、どう考えても「誰でもなれる訳ないやろ!」と考える宇宙飛行士の仕事体験コーナーが。スパモニで玉川徹氏が「つまらん」と酷評していた消防士の仕事もある。

服飾デザイナーのしごと

1階に下りると、中学生がいっぱいうろついている、まるでショッピングモールみたいな一画があるが、ここでは服飾デザイナー、美容師、デコレーター、フラワーデザイナー、ピアノ調律師、CGデザイナー、建築家といったデザイン関係の仕事体験コーナーがぎっしり入っている。

中でも気になったのが「声優」。それも「誰でもなれる訳ないやろ!」の世界である。それでも何故か人気が高い「声優」。オタ向け職業体験といったところか。

機械工作のしごと

ものづくりの仕事関連も充実したラインナップ。「機械工作の仕事」では、NC旋盤・マシニングセンターを使った機械部品の製造が出来る。

精密機械製造のしごと

「精密製品組立の仕事」では中学生がせっせと時計の製造に勤しんでいた。

このコーナーでは時計製造にシチズン時計株式会社が、玩具の製造にリカちゃん人形を使用し、タカラ株式会社(現:タカラトミー)とタイアップしている事が分かる。赤字体質の「私のしごと館」を立て直す為にもっと民間企業のタイアップを促進させるべきであると提言したい。

印刷のしごと

あまり面白くなさそうな「印刷の仕事」は受付をやっていない。
公共の利益の為であり無駄かどうかは関係ないとおっしゃるが、全体的に見ても、寒々しく感じてしまうのは否めない。

できるだけ多くの仕事を体験できるようにしたいのであれば、西成の日雇いのオッサンの仕事や、交通誘導警備の仕事、パチンコ屋の仕事、食品工場の仕事、食肉工場の仕事、ゴミ収集の仕事、葬儀の仕事なども体験できるようにすれば良いではないか。

あらぬ職業差別や貧困層への偏見を取り除く為にも、おかしなプロパガンダビデオや副読本を与えるよりよほど同和問題の啓発になるし、宇宙飛行士の仕事よりもよほど実用的だ。
「職業に貴賎はない」のだから、そのくらいの勢いで突っ走って欲しいぜ!

>次のページへ

参考記事
京都新聞:「私のしごと館」職員は平静 精華・木津川、廃止報道後も見学多数
J-CAST:毎年20億円赤字の価値「アル」 独立行政法人の「お気楽」

参考になりそうな書籍


※「私のしごと館」は2010年3月末をもって閉館となるようです。ご愁傷さまでした…

The following two tabs change content below.
DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
タグクラウドから記事を探す
DEEP案内編集部のnote

知ってました?DEEP案内編集部のnote

ネット上で大っぴらにするのはちょっと憚られる内容の記事は「DEEP案内編集部のnote」で書く事もたまにございます。全て100円からの有料記事となっておりますので興味のある方のみご利用下さい。

この記事を人に教える

トップへ戻る