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関西学研都市ダメポツアー (1) 国立国会図書館

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大阪だけじゃなくて、関西2府4県にお住まいの方々へ。
関西文化学術研究都市」には、行った事はございますでしょうか?

茨城県つくば市にある「筑波研究学園都市」と同じく、国内有数の学術研究拠点を関西にも作ろうではないか、という趣旨のもとで始められた国家規模プロジェクト。大阪府・京都府・奈良県境に跨る京阪奈丘陵一帯に、大学や企業や国立の学術研究施設をまとめて整備してきた。

だがそれはバブル絶頂期に推し進められた計画だった為に、現在様々な形で無理な計画による綻びが生じており、特に学研都市の中枢エリアである精華・西木津地区に関しては、何も無い山をまるごと切り開いて作られた巨大な人工都市が、ハコだけ作って人が居ないという、まさに大阪で言う所の南港コスモスクエアか舞洲かというような悲惨な様相を呈している。

今回大阪DEEP案内取材班有志一同は、この関西学研都市の現状を知るべく、精華・西木津地区を視察してきた。



学研奈良登美ヶ丘駅

待ち合わせ場所に指定した、精華・西木津地区への最寄り駅の一つである近鉄けいはんな線の終点、学研奈良登美ヶ丘駅。大阪の都心から地下鉄中央線が乗り入れしていて直接ここまで来れるのだが経路がトンネルの連続であるために割増運賃を取られ、べらぼうに高い。

京都・奈良方面からのアクセスは、近鉄京都線の新祝園駅からバスに乗る方が良い。

隣接する奈良県生駒市の「高山地区」では、あの悪名名高い「天下りの温床」独立行政法人UR都市再生機構(旧・日本住宅公団/住都公団)が手がける巨大ニュータウン計画があったが、土地だけ買い漁っておいてバブル崩壊の煽りで計画は頓挫したまま放置。山は荒れ放題、不法投棄のゴミの山に変えてしまった挙句、1000億円以上もの税金を投入して、結局ニュータウン計画自体も無くなってしまうという結末になった。

UR都市再生機構の看板

そして、関西学研都市の中枢エリアである精華・西木津地区(京都府相楽郡精華町・木津川市)においても、2007年11月末には複合商業施設「けいはんなプラザ」を運営する、京都府・大阪府・奈良県などが出資する第三セクター「けいはんな」が経営破綻。

精華・西木津地区

肝心の民間企業の誘致も一向に進まず、逆に、住友金属工業やバイエル薬品、キャノンなど、始めから進出していた企業のいくつかが学研都市から撤退し、メインストリートである「精華大通り」には人も車も通らず閑古鳥が鳴く有り様。どうしてこんなに関西はダメダメなのだろうか。

大阪府だって、勝手にオノレのプライドだけで「彩都」(国際文化公園都市)などというニュータウンを計画するも、250億円もの「鼻先のニンジン」ならぬ補助金をちらつかせながらラブコールを送っていた武田薬品工業にも逃げられるわで、ろくな事になっていない。二重三重行政の無駄の典型である。

奈良交通のバス停留所

ともかく、中枢エリアに鉄道が通っていないのが痛い。精華・西木津地区には奈良交通のバス停留所が寒々しく立ち尽くしているのみである。奈良・京都在住者はもとより、ましてや大阪から公共交通機関でここまで来ようと考える人間も居ないだろう。

学研奈良登美ヶ丘駅より精華・西木津地区を経て新祝園駅まで延伸する案も無くはないが、実現する目処すら立っていない。この一帯が奈良県ではなく京都府に属する為、京都府が財政面を理由に近鉄けいはんな線延伸のための出資に消極的になっているという話もある。

そんな精華・西木津地区には学研都市を代表する、国が運営する巨大ハコモノが2つある。
国立国会図書館関西館」と「私のしごと館」である。

国立国会図書館関西館

国立国会図書館関西館は、東京都千代田区永田町に本館を置く、国会議員の調査研究と国民の為に設置された、キング・オブ・図書館とも言えるべき施設。日本で出版される本の全てが「納本制度」に基づいて国立国会図書館に納本される仕組みになっている(その割には取り扱っていない本も多いが)

東京本館の書庫がパンクしそうなのもあって、関西館を作ったそうだが、建物の作りがハンパなく凄い。建築家陶器二三雄氏によるデザインで、超近代的な外観とは裏腹に、中に入ると和風テイストな雑木林の中庭があり日本を感じさせる作りとなっている。ちなみに内部は撮影禁止なので写真はありません。総工費は429億円。どはははは。

国立国会図書館の検索システム「NDL-OPAC」で蔵書をネット検索でき、目当ての本があれば申し込む事によって数十分待てば書庫から取り出されて閲覧する事ができる。本の貸し出しは一切行っていないが、著作権法で認められる範囲のコピー(原則、1著作物の半分まで)は有料で行える。

一度、図書館に赴いて利用者登録を行えば、自宅でインターネット上から蔵書されている図書の申し込みが出来るので、待つ手間が掛からない。いずれにしても永田町か精華町まで足を運ばなければ本は読めません。10時から18時までしか開いて居ないので時間は有効に使わなければならない。

なお、「関西館」だけにあるアジア情報室で取り扱われているアジア図書コーナーが魅力的。「伽耶は日本のルーツ」など、香ばしい本が沢山置かれていました。韓国中国など特定アジア関連の調査研究にはもってこいの施設である事は間違いない。さすが関西、特定アジア限定国際都市にふさわしい。

4階食堂のB定食

4階食堂のB定食(600円)。超豪華な食堂の割には作り置き感の強い煮込みハンバーグと生野菜。食堂のおばちゃんは一人だけしか居ませんでした。

本当に日本最高クラスの図書館であるはずなのに、土曜日であっても机はガラガラであるという異常な事態を感じずには居られない。大阪市立中央図書館など、街中にある図書館に行けば大概席の取り合いになっているだろうが、そういうのが全くないのだ。来客数も数える程しかいない。一体、国は何を考えているのだろうか。甚だ恐ろしい。

続いて、厚生労働省所管の独立行政法人「雇用・能力開発機構」が国民の雇用保険581億円を元手にぶっ建てた超巨大天下り官僚保養施設…ではなく職業体験施設「私のしごと館」を紹介しよう。

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参考記事
日経ネット関西版:けいはんな、薄い当事者意識が傷深める――再生案「2次破綻」懸念も

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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