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ディープサウス阿倍野 (2) ガード下の街・美章園

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大阪ディープサウスの玄関口・天王寺から阪和線でひと駅、阿倍野区美章園。
美章園と聞いて韓国料理とか焼肉が出てくるのでは…あれは李朝園か。ローカルな駅なので地元民以外に知名度なさげな感じがします。

大正年代に、この場所を住宅地として開発した山岡順太郎氏の経営する「美章土地株式会社」が地名の由来となっている。後に大阪商船の社長などを務めるという大物財界人。同じく財界人だった親父さんの名前が山岡美章というのだそうだ。モダンでカッコいい名前である。

美章園駅

これが天王寺駅の一個隣の駅とは思えない阪和線美章園駅の駅舎。
阪和線は同じJR線の中でも駅舎の整備が随分遅れているのが特徴である。

駅の横

駅の横にひっそりと建つ小さな鳥居と神社。その隣にはひっそりと遭難供養碑が建っている。戦時中には、この駅にも1トン爆弾が落ちて30名ほどの死傷者が出たという。

街角に残る「戦後」の匂い。駅を降りると気づくと思うが、この美章園駅を中心に阪和線のガード下にズラリと並ぶ住居や店舗の数々。大阪環状線沿線の一部にもこうした「ガード下住居」というべき物件があるが、美章園に来るとその数が半端ではない。

ガード下住宅

駅近物件どころかここは「駅下物件」である。

戦後で家を焼け出された多くの市民、家を建て直すにも自分の土地がどこだったのか、どこにあるのかすらわからない混乱期があった。物資不足の中で屋根のある場所は何よりも貴重だったわけだ。どういう経緯でガード下の家が出来ていったのか、その時代を生きては居ないのでわからないのだが、今では国鉄からJRとなった電車の高架線と民家がまるで一体となっていて、見るからに珍しい。

駅前商店街

美章園の駅を降りると、目の前が微妙に寂れた商店街。天王寺の隣の駅とは思えないテンションで、勤め帰りのサラリーマンや主婦を待ってます。しかし、これだけ通勤至便なのに、なんでこんなに活気がないのか?!

駅前商店街

古びた高架駅とその下の古びた商店街。駅を支える鉄骨の姿が、また古臭くて懐かしい。
隣の南田辺から長居まではすっかり綺麗な駅にリニューアルされているのだが、なぜか美章園だけはそのまま放置状態だ。きっとガード下住宅の権利関係がややこしいのだろう。

駅下物件

住宅群は駅からずっと南側に向けて伸びている。紀州路・関空快速や関空特急はるかがこの上を通っているのだ。普段乗ってても気づかないよね。

ガード下店舗

美章園駅の南側はすっかりと色あせた居酒屋やスナック、不動産屋が並んでいる。
戦後のラジオ放送で有名な「夫婦善哉」の名司会者で知られるミヤコ蝶々と南都雄二が新婚生活を送ったのが、この美章園のガード下にあった4畳半と2畳の住宅だったそうな。

ガード下住宅

東側のガード下は店舗が並んでいるのに対し、西側のガード下はもっぱら住宅群のみである。線路に平行して南北が綺麗に空き地となっている。そのうちここにリニューアルされた後の新駅が置かれるのではないかと想像するが、具体的に工事する計画が立っているかすら怪しい。

ガード下店舗

謎の電化製品リサイクル屋。店主のオヤジ、相当暇なのか完全に熟睡していた。こんな所なら、もしかしたら玉造のアジアコーヒ日の出通り店のような味のある店が残っているかも知れない!

ガード下喫茶店

そう思ったが、寂れ切った街の喫茶店は閉まったままになっていた。

ガード下喫茶店

中には営業中の店もある。喫茶店の他にもお好み焼屋があったり、色々。

ガード下木造住宅

ガード下住宅の中にはこんな木造建築まである。長年の電車や地震の揺れにも負けずに残っているなんて…凄い。
しかし電車がひっきりなしに通るような場所によく住めるもんだと感心するばかりだ。

美章園温泉

そんな寂れ気味の美章園にある、モダン建築の風格漂わせる銭湯「美章園温泉」。
昭和8(1933)年に建てられたものをそのまま使用している。開業当時はプールやダンスホールまであり大人の社交場として賑わっていたのだとか。文化庁指定の有形登録文化財である。

昭和42年、建物が競売に掛けられ閉鎖の危機があったそうだが、今のオーナーの父親が建物に惚れ込んで以前の銭湯を売ってお金を工面してまで買い取ったことで今も健在。しかし利用者は爺さん婆さんばかりになってしまっている。この街の寂れ具合から見て、今後の展開がどうなるかは不透明だ。

美章園温泉

裏手に回ると、また趣のある天井部分が少しだけ見える。よっぽど風呂入ったろうかと思ったけど、結局入りませんでした。少し後悔。

参考記事
大人の風呂の楽しみ方 下町フローライフ: nikkansports.com: 美章園温泉
asahi.com:ミヤコ蝶々と南都雄二 – トラベル「愛の旅人」

参考になりそうな書籍

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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