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不要か?必要か?!芦原橋にある存続危機の「大阪人権博物館」に行ってきた (全3ページ)

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この記事は2012年12月の人権週間に併せて公開予定でしたが、諸事情あって遅れて今更の公開となったものです。博物館の展示内容は2014年現在変更があるかも知れませんのでその点了承下さい。

大阪市の行政と切っても切り離せないのが同和問題。江戸時代から続いた被差別部落「渡辺村」に始まり現在も皮革産業集積地として太鼓屋や皮革製品関係の町工場、それに市営団地などが並ぶ大阪市浪速区の一角にある「大阪人権博物館」もまた同和対策事業の一つとして昭和60(1985)年にオープンした施設で、大阪市長となった橋下徹氏の視察で報道されその存在が大きく注目された。

その大阪人権博物館は開館以来今まで殆どの運営費用が大阪府と大阪市の公費で賄われていたのだが、府知事時代と市長時代の2回に分けて視察に来た橋下徹氏の号令で補助金が全額カットされ、早速運営の存続が危ぶまれているという話を聞いて、こりゃ潰れる前に行かなければと焦って芦原橋駅までやってきましたよ。

相変わらず人権啓発標語だらけで人通りもいない芦原橋駅前に降り立つと正面には旧渡辺村時代からの特産品である太鼓屋が店を連ねている。特に「太鼓正」は江戸時代から続く老舗の太鼓屋で店構えも立派である。

旧渡辺村は江戸時代から全国有数の太鼓生産地として太鼓職人が集まってきた土地。今でもこの浪速地区で作られる太鼓は全国各地の祭りで使われている。駅前の太鼓屋だらけの街並みはこの土地ならではの特徴である。

そんな芦原橋駅前の市バスのバス停も太鼓がモチーフになっているというこだわりよう。「人権太鼓ロード」だなんて名付けられている。いちいち人権とつける必要もあるのかどうか疑問なのだが…

あまつさえ待合のベンチまで太鼓風デザイン。肝心の市バス利用者はそれほど居ないようですが、ともかく駅前はどこを見回しても太鼓太鼓な感じです。

芦原橋駅界隈は交通至便な地にありながらも市営団地群を除けば概ね見捨てられたような街並みが続いていて、この謎めいたスーパーマンの建物も当方の記憶ではかれこれ20年以上はその姿を留めている。一階店舗部分が何だか怪しげな果物屋になっているのもそのまま。

芦原橋の駅前は昔からとにかくずっと寂れっぱなしな感じなのだがガード下にはまだまだ個性の強そうな定食屋が何軒か残っていた。浪速のソウルフード「あぶらかす」が賞味できる「ニューなに和」もその一つ。

かすうどん等といったあぶらかす料理は主に南河内地方が発祥だが皮革産業に従事する人々の栄養源としてこうした地域で昔から食されてきた。今でこそコラーゲンたっぷり等と持て囃されて東京にも次々かすうどんの店が出来てますけどね。

ガード下の庶民的食堂で食べる関西風のあっさりしたダシで味付けされた、あぶらかす入りの「かす丼」。「ニューなに和」は芦原橋駅周辺では数少ない食堂だったが最近来てみたら潰れてしまっていた。なんてこった…

駅周辺の市営団地群も同和対策事業の一環で整備されたもので団地以外の場所は大阪市が所有する所謂「塩漬け土地」となっていて荒んだ空き地が広がっている。正面の浪速生野病院は前身である旧芦原病院の時代に大阪市から300億円以上の財政支援を受けながら経営破綻していて、現在は運営母体が変わっている。

かつてこの土地でイデオロギー剥き出しで活動していた同和団体も人権センターや解放会館が閉鎖された今鳴りを潜めている。差別と貧困との戦いの末にあるものがこういった箱物行政なのかと思うとねえ。箱だけ立派なのに人が居ないというのがまた…

誰も人の姿のない「浪速玉姫公園」には立派なからくり時計のモニュメントが置かれていた。江戸時代の渡辺村で最も有名だった太鼓職人、太鼓屋又兵衛屋敷跡とある。東京で言う所の浅草の弾左衛門と肩を並べる程の人物らしい。

浪速玉姫公園の隣には名前もよく分からない古い神社が置かれている。それはいいのだが鳥居が傾いたままでホラー映画のような佇まいなのだが大丈夫なのだろうか。

この神社自体が太鼓屋又兵衛に関わるものなのか由来の看板一つもないので詳しい歴史は定かではないのだが賽銭箱にはやたらと太い鎖が巻きつけられていて賽銭泥棒対策としても随分物騒な姿を見せている。

寄り道が過ぎてしまったが、目指す大阪人権博物館はここから少し先にある。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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