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西成区・西天下茶屋銀座商店街の絶滅危惧種激渋純喫茶「マル屋」が最強過ぎる件 (全2ページ)

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大阪という街はDEEPの牙城である。レトロ物件の宝庫だったりヤバイ人間の坩堝だったり色々濃すぎる訳であるが、その中でも「西成」はあまりにコア過ぎて日本の最低辺社会だとかリアル北斗の拳だとか日本のヨハネスブルグだとか散々な事を言われてきた。そんな西成のイメージ通りの場所は釜ヶ崎だけでっせ…と釈明するのもいちいち面倒臭くなってきた。

大阪市 喫茶マル屋

で、今回紹介するのはそんな西成区にある土着臭全開な街の喫茶店のお話。南海高野線の支線「汐見橋線」という盲腸線が岸里玉出駅から分岐している。それに乗ってひと駅分行くと「西天下茶屋」という駅がある。もっとも汐見橋線は30分に1本しか電車が来ないので、実質的には天下茶屋駅ないし岸里駅から歩いた方がだいたい早い。そんな西天下茶屋駅前の「銀座商店街」だ。だいぶ前にNHKの連ドラ「ふたりっ子」の舞台で知られるようになった場所だが、完全にローカル臭しかしない。

大阪市 喫茶マル屋

天下茶屋というローカルな地名も、そこがボクシング亀田三兄弟の地元だというくらいで、関西圏の外側ではそれほど知られてはいない。地元民しか来ないスーパー、地元民しか来ないお好み焼き屋、地元民しか来ないババ服屋…そういった土着臭溢れる下町商店街の一角、目立つ角地に目指す喫茶店はある。「喫茶マル屋」。アーケードからぶら下がる看板ですら骨董品。

大阪市 喫茶マル屋

さてこのマル屋、商店街にある他の商店と同じように、見た目によそ者を全く受け付けてくれなさそうな近寄り難い雰囲気を感じるのだが、そのへんのレトロ喫茶であればそんな「雰囲気」だけが障壁になるだけで、エイヤッと入って見れば案外落ち着ける雰囲気で良かった、というオチもままあるのだが、この店の障壁は一般的な「入りにくい喫茶店」の壁と比較して2倍3倍くらい分厚いものがある。

大阪市 喫茶マル屋

まず玄関の脇にぽつんと置かれた金属製の黒板に目を配ろう。そこに書かれている内容は喫茶マル屋で出しているメニューと価格である。「160円コーヒー.カレーライス.250円.」なんだか統一感のない書き方だが、これまた随分と安い。西成価格だという事を考慮してもだ。

大阪市 喫茶マル屋

それはいいが黒板の下に短冊形にぶら下がったメニューは一体何なのだ。おまけにペットボトルとかき氷のカップが針金で括りつけられているというカオスっぷり。見ての通りメニューはかなり多い。「天プラソバ270円」「天プラうどん定食370円」「キムチ牛丼290円」「オムライス250円」「そばめし270円」といった具合である。

大阪市 喫茶マル屋

中には紙がヨレヨレになって読みづらくなったものも多数。「ホットレモン170円」…辛うじて読めました。それにしてもこの激安ぶり。大手牛丼チェーン店も尻尾を巻いて逃げ出すデフレ価格だ。この価格設定は西成のドヤ街にあるスーパー玉出直営喫茶よりも安い。

大阪市 喫茶マル屋

見た目にもかなり年季が入っているには違いない喫茶マル屋だが、店の表にも堂々と創業年数が張り出されている潔さが気持ちいい。紙の四隅をわざわざ赤ペンで縁取って場末のスーパーのポップみたく脚色しているのも良い。「いい物を安く!」全国トップクラスの生活保護受給率、乞食だらけの街西成、そんな西成では安さこそが正義。安くなければ西成では商売ができない。

大阪市 スーパー玉出

玉出、玉出、安売りの玉出!ありがとうございます、ありがとうございます!

同じ西成生まれ「スーパー玉出」の店内アナウンスが脳内でリフレインしてきた。

大阪市 喫茶マル屋

2009年3月に店の前を通りがかった時は「創業七十四年」と張ってあった紙が、2011年12月には「創業七十七年」と書かれた紙に変わっていた。いささか年数の変わり目の計算があやふやな節は感じられるが、つまり喫茶マル屋が創業したのは逆算すると1935年…昭和10年という事になる。どんどんマスターの手書きの文字がくねくねと弱々しく変わっていくようにも感じられるが、今は「創業七十九年」にそろそろ変わる頃かも知れない。

大阪市 喫茶マル屋

さらには店のガラス窓にもベタベタ貼り付けられた短冊メニュー群。セロテープで両側を止めているだけだ。「やきそば230円」のそばに小さく(キムチ)と書いているのがポイント。キムチ焼きそばという事か。天下茶屋あたりも在日韓国人が多いので需要がありそうだが。さらに牛丼はオーストリア産。オーストラリアではなくてオーストリア産?期間限定で240円、通常250円と同じ牛丼でも2つの張り紙がある。

大阪市 喫茶マル屋

しかもメニュー張り紙はそれだけに留まらない。最も大きなサイズの張り紙で「年越そば」と筆書きされたものが春夏秋冬構わず年がら年中張り出されているのである。この店は年中年越しモードなのだろうか。そりゃ喫茶経営もン十年経つと年月経過の感覚が鈍るのもあるかも知れないが、誰の身にも平等に1年は365日と4分の1日あるのだ。メニュー後から付け足しすぎだし。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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