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西成の歩き方 (19) ディスカウント人生編

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僅か500メートル四方の土地に2万、3万もの人口がいると言われる西成釜ヶ崎。
東京都心ですら及ばぬ人口過密地域だ。
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そんな釜ヶ崎には様々な衣食住のスタイルが存在する。
お洒落な店などは皆無だが、そのへんにこだわらなければ店の数は膨大に存在する。
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山王・太子界隈に縦横無尽に広がる商店街は数万人もの西成の労働者の衣食住の需要を満たしている。それらは殆どが周辺地域の常識とはかけ離れた価格破壊をもたらしている。その実態を、少しだけお伝えしようと思う。
西成の歩き方レポートの続編です。初めからお読みの方はこちらからどうぞ


例えば分かりやすいものから挙げると、缶飲料の自販機だ。
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ひと缶50円、60円、70円の激安自販機は西成界隈ではデフォルトである。仮に120円の自販機があっても、間違っても誰も買わないだろう。激安自販機で売られている缶飲料のメーカーを見ると、やっぱりそこは地元大阪が生んだ「サンガリア」である。
ここ西成は生活破綻者の集う街だが、今の日本だって借金塗れの火達磨国家。
国破れてサンガリア。
そう、暮らしが破綻しようともそこに一本60円のサンガリアの缶飲料があればホームレスだってひと時の癒しを得る事が出来るのである。ちなみに「国破れて山河あり」、がサンガリアの社名の由来。(詳細
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毎年常に数百人の「行き倒れ」が発生するサバイバルタウン西成だが、そこには多くの一般人も住んでいる。やはり日が暮れると外出を控えたりしているのだろうか。
夜な夜な「シノギ屋」と呼ばれるノックアウト強盗に背後からガツンとやられて金品を盗まれる被害が相次いでいると言われる。十分警戒しなければならない。常に西成は「やるかやられるか Do or Die」(By SHINGO☆西成)の世界なのだ。
飛田から今池本通商店街、堺筋を跨ぎ萩之茶屋商店街、そこから三角公園と893屋のチンチロリンストリートを逃げるように抜けていくと釜ヶ崎の西の端、南海電車の高架に沿った道路が、路上フリーマーケット天国になっていた。
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ゴールデンウィークだからだろうか。凄まじい店の数である。これら全てが道路交通法の許可を取っているかどうかも怪しい。フリーマーケットもとい、路上バッタモン市の列は、南の端は「珍古萬古」の骨董品屋から、北の端はあいりんセンターまで、とても広範囲だ。さらに南海の高架を挟んだ反対側までも店が並んでいる。
売られているものは様々。衣類から時計、ヴィトンのマークが入ったバッグ、骨董品や中古車まで。他にも被覆付きの銅線、工具、大人のおもちゃ、ゲームソフト、古本、どう見ても違法コピーな映画のDVD、エロビデオは3本よりどり200円。さらには韓国製偽マイルドセブンなどもあるという。
ある意味究極のリサイクルタウンだが、とても買い物して帰る気にはならない。それに「盗品」が堂々と売られている事も珍しくはない。もう少し朝早くに来ると、賞味期限切れのコンビニ弁当が並べられている事もあるそうだ。完全にぶっ飛んでます。
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西成区において、あちこちの公園はもはや公園としての機能を完全に失っているのは、以前に津守の西成公園の現状などをお伝えした通りだが、今宮中学校南側の花園公園もまたホームレスの野営場となっている。
公園の入口には「差別行政をつづける木っ端役人は公園にくるな!」と書かれている。まさに目の敵である。同和行政ばかりに偏重する大阪市の福祉施策を私は散々見てきたが、彼らが怒るのも当然のことだろう。
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釜ヶ崎を抱える大阪府、大阪市におけるホームレスや生活保護施策は、もはや地方自治体の力だけで支えるのには限界に達している。大阪府、市の雇用施策、福祉施策として続けられていた「大阪府市高齢者特別就労事業(特掃)」が、4月を最後に登録を打ち切られる事を知らせる張り紙が、あちこちに張られているのだ。
これは、釜ヶ崎に住む55歳以上の高齢労働者を対象として大阪府や大阪市が仕事として街頭の清掃を仕事として用意している事業だ。参加すると1日5700円が給与として支払われる。
それが無くなるんだそうだ。
「アブレはキツクなるゾ!」と書かれている。
一体、これからの釜ヶ崎はどうなるのでしょう。
ちなみに釜ヶ崎での「行き倒れ」による行路死者は真冬に多いのだが、その次に多いのが6月の梅雨時だと言われている(生田武志・著「ルポ最底辺」による)
「日雇い」の仕事の大半は、雨が降ったら仕事が無くなる「土木建築業」だからだ。
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今宮中学校の北側に回ると、こんな喫茶店がある。
「喫茶・食事 ひまわり オールナイト営業」
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このひまわりのマークはどこかで見た事がある。
そうだ、「スーパー玉出」だ。
この喫茶店はスーパー玉出直営の店なのだ。真上は福祉アパートというのが、またたまりません。
もうこれは入るしかないだろ!腹減ってるし!
って、入口と出口が別々になっているので戸惑う。
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店内は意外に広くて居心地は悪くはない。だが客は全員オッサンである。
朝早くなので、競馬新聞を読んでいたり友人と談笑していたりというところか。
しばらくすると店員のオバチャンがニコニコしながら注文を訪ねてきた。
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メニューはご覧の通り。やはり「スー玉」直営だけあって怖いくらいに超安い!
一番高いAランチでも550円なのだ。
POPフォントがまるっきりスーパー玉出そのまんまなので、嫌でもここが直営店だと言う事がわかる。
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意外に米は旨かった、スーパー玉出直営喫茶「ひまわり」のBランチ(500円)。
だが、食う事第一な日雇労働者にとってはちょっと量が少ないかも知れない。
その後、新今宮駅前のスーパー玉出を覗きに行った。
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ここのスーパー玉出は一味違う。
何が違うというと、やはりここも真上が福祉マンションなわけだが、住人が自分の住んでいる部屋に入る為に、スーパー玉出の店内をくぐらなければ中に入れないというのだ。「小枝不動産」で紹介された珍物件。
ここのスー玉は24時間営業なので、スーパーが閉まったら住人が出入りできなくなるようなことはない。
恐るべき西成。あらゆる意味で「魔窟」である。
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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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