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梅田の隣「中津」 (3) ガード下の黄金郷

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「高架下の街」と言われる中津の街。梅田のすぐ隣にあるとは思えない、ほったらかしの街角と、所々顔を覗かせるガード下の闇。

その闇の中に目を凝らすと、同じ大阪の街にあって全く別次元の時間が流れている事に気がつく。高架下マニア必見の光景である。



中でもマニアの心を魅了して止まないと言われているのが国道176号の下に続く「高架下のエルドラド」などと呼ばれるエリアだ。自動車がすれ違える程の幅の道路が中央に走り、その両側を倉庫などの高架下建築で占められている。総延長200メートル程度と言ったところだろうか。

昼間訪れるとご覧の通りだ。コンクリート壁には旅館の屋号や貸しガレージ等と書かれたペイントが見える。見るからに相当昔に書かれたものだというのが分かるが現存しているかどうかも怪しい。

どさくさに紛れて北朝鮮がどうやらこうたら書かれた右翼団体のビラが貼られている。現在でこそ中津はしなびた下町となっているが、かつては在日コリアンが集住する地域であり、闇社会のドン・許永中が生まれ育ったという歴史のある街なのだ。

国道176号の下に入ると、オレンジ色の街灯で照らされた空間が現れる。なるほど、これが「高架下のエルドラド」の異名を持つ中津名物の光景。黄金郷というには赤味が強すぎる気がしなくもないが、それでも見事なものだ。オレンジ色の元は高速道路の街灯にも使われる、虫を寄せ付けにくいナトリウムランプである。
基本的にただの倉庫街でしかないので自転車で通り過ぎる住民が時々いる程度で生活感は皆無だ。

高架の柱には駐車禁止等と注意書きが書かれているが幾重にもチョークの跡が残っていてはっきり読む事ができない文字。

日が暮れると外からの陽の光も無くなり、いよいよオレンジ一色の奇妙な景色へと変わる。別に意図的に写真を加工した訳ではない。本当にこの色なのである。オレンジ色の光が浮かび上げるのは戦後の時代からそのまま使われているかのような倉庫街が今に残る風景だ。

倉庫の他にはガレージが置かれている事が多い。所有者の名前で国際興業と書かれているがこれは現存するタクシー会社である。

こちらにも国際興業の名前がある。その下には何故か山口県萩市をアピールするポスターが貼られている。きっと誰かの故郷なんだろう。
東京に東北・甲信越・北関東出身者が多いように、大阪には四国・中国・九州出身者が多い。その背後には市営住宅が見える。大阪に住む地方出身者の多くは高度経済成長期に大阪にやってきてはこのような市営住宅に入居し、老年に差し掛かってからは食い扶持を無くして生活保護を受けている訳だ。

ひたすらオレンジ色が続く道をまっすぐ進む。ひと気も少ない高架下空間はやはり異次元を思わせる。

梅田方向へ突き当たった所に「ピエロハーバー」という店舗がある。見た感じ「貸しスタジオ」のようだが、壁に色々と何か書かれている。そっちを見てみると…

何やら居酒屋っぽい事もしているフリースペースである事が分かる。あいにく年末年始の為営業はしてなかった。どうでもいいが「たこ焼きバーガー」の発想はさすが大阪人。炭水化物が被っても平気だぜ。

その向かいの壁には喜劇王チャールズチャップリンの顔が描かれている。意外な場所に意外なモノがあるなぁと言った印象だが、隣接する中崎町と同様に、まるで東京の中央線系のような香りが漂う文化的空間がいつの間にか出来上がっていたのだ。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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