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大和郡山市東岡町・禁断の「郡山新地」の残骸 (3)

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今もなお陰鬱な空気を淀ませたままかつての遊郭の風情を留めている大和郡山市東岡町の街並み。生駒の宝山寺新地とともに奈良県の現役ピンクゾーンとして名を馳せた土地の末路は、ひたすら荒みきっていた。
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東岡町の遊郭建築が立ち並ぶ区画を抜けて南側に出ると、そこには金魚田が広がっていた。
金魚の養殖は大和郡山の名物である。江戸時代より続けられてきた地場産業だが、後継者不足などで廃業する業者が後を絶たず、使われずに放置されたまま苔むして異臭を放つ金魚田も決して少なくはない。


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その金魚田と遊郭跡を遮るように近鉄橿原線の線路が街を南北に走っている。金魚田の間を行き来する歩行者のためだけに設置された踏切が街を東西に分けていた。自動車通行禁止の標識は何の役にも立たない。どう見てもクルマは通れないだろこれ。
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踏切を跨いで西側に渡ると、町名も西岡町に変わる。そこには金魚田の残骸が荒れ果てたまま放置されていた。
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東岡町の遊郭が現役だった時代には、さぞかしこの付近には金魚田を眺めながら佇んでいた遊女の姿もあった事だろう。しかしこの荒れっぷりは酷いもんだ。ゴミ溜めだらけである。
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西岡町は厳密には遊郭の範囲からは外れて普通の住宅街となっている。この付近から金魚の養殖業者が多くなり、街中金魚田だらけで独特の景色が広がっている。
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金魚の養殖業者と思われる一般家屋の一つ。大和郡山の金魚は、愛知県の弥富、山形県の庄内などと並んで全国的にも有名な存在。郡山だけでも全国シェアの6割とか4割とか言われている。
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そんな金魚田を目の前にして、線路を挟んだ反対側であるはずの西岡町側に、何やらレトロモダンな一軒家が目に付く。
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近づいてみると普通の一軒家だった訳だが、棟続きに純和風建築と洋風建築が一体化しているという非常に変わった建物となっているのだ。
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映画のセットにそのまま出てきそうな粋な建物である。洋館サイドは窓の一つ一つまで造形が細かい。現在はただの民家であるが、その昔は東岡町の遊郭と関係していたと匂わせるに充分な説得力がある。
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民家の正面の路地から建物の横側に回りこむ。この方向からだと東岡町の遊郭から見える向きと同じアングルだ。さぞかし遊郭を訪れた男衆に「あっちにも何かありそうだ」と言わしめんばかりにアピールしているかのようにも見えなくもない。
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2階部分の丸窓に嵌め込まれたのは、見事な孔雀の模様のステンドグラスだ。奈良の片田舎の外れでこのような美しい洋風建築を見る事になるとは思ってもいなかった。
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今なおミステリアスさを秘める東岡町の遊郭跡、そのど真ん中を大勢の通勤通学客を乗せて近鉄電車が走っていく。歴史の闇に葬られたこの色街の歴史を知る事もなく、人々は日常を送る。
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金魚田が反射する空の色が合わせ鏡のような風景を創りだす、奈良の片隅に残る「異界」の姿。奈良の大仏とかベタな観光地はすっぽかしてでも大和郡山の街は是非一度歩いて欲しい。久々にDEEPな街並みを見つけて満足して帰路に着いた。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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