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パナソニックの企業城下町だった…大阪府下トップクラス貧民街「門真」を歩く (全3ページ)

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大阪京橋から京阪電車に乗って門真市にやってきた。

門真市は大阪近郊にある都市で、市の面積は大阪市内の区とそれほど変わらない小規模な自治体ではあるが、これまで松下電器(現パナソニック)の企業城下町として栄えた工業都市でもある。

常々大阪は商売の街やと言われてきた事だが、戦前に「東洋のマンチェスター」などと持て囃された当時から大阪はずっと工業都市なのである。そしてその社会の底辺を支えてきたのが大阪市内や門真なんぞに住んでいる工場勤めの庶民である。

高度経済成長期に合わせて地方から沢山の労働者が大阪へ移住し、バブル期以前まではうまく歯車も廻っていたが、それが工業衰退により失業や収入減に見舞われ、大量に建設された市営住宅の住民が高齢化し次々生活保護を申請する大貧民国デフレスパイラルの様相を呈している。

とりわけ企業城下町だった門真の地盤沈下は著しく、工業の海外シフトや不況の影響で地域経済は衰退、さらに当時の労働者移民が一斉にジジババとなり国保や生保といった福祉予算で首が回らず市政を圧迫し続けている。

もう3年以上前の事だが、パナソニック工場に隣接する門真市役所をたまたま訪れた時に国民健康保険窓口に凄まじい数の老人が群がっていたのを目撃した。国保料の減免手続きを行う為に80人以上の行列が出来ていたのだ。待ちきれずにキレだすジジイが居たりとかなり殺伐。

門真市の国保収納率は全国最低の75%(2007年)、市民の平均所得は府下最低の311万円(2004年)、生活保護受給率は100人に4人という紛れもない大阪府下トップクラスの貧民街である。

そういう事情を踏まえて門真の街をがっつり歩いて見てみようと思った訳だ。京阪電車の駅を降りると目の前は市営住宅「新橋団地」。松下電器の企業城下町として本格的に人口集中しだした時期に建造されたもので、古臭さが際立つ。

市営団地に隣接するショッピングモールは笑える事にサラ金業者の巣窟と化していた。大手4社が同じビル内に揃い踏み。よほど門真の街には良質な顧客がおられるのですね。

さらに道路の向かいにはギラギラとネオンを轟かせるパチンコ屋がデーンと建っていた。

サラ金・パチンコ・市営住宅、これぞ貧民街三連コンボ。工業都市としての経済は停滞したが貧乏人からカネを巻き上げる経済はしっかりと生きている。市政を苦しめる福祉予算の多くもこういった場所に流れているのだろうな。

のっけから貧乏臭さが際立つ門真駅前だが、今回この街訪れた目的は貧民街ならではの事件の現場を観察する事である。近年の傾向では少年犯罪が特に目立っている模様。

同居する妹(17歳)をメリケンサックで殴って暴行致死、姉カップルは生活保護受給 – 門真市本町
少年2人(16歳、18歳)が携帯型ゲーム機を奪う目的で通りすがりの男性を暴行致死 – 門真市末広町
少年(19歳)、女性(19歳)の長男(2歳)虐待して死なせる – 門真市上島町

これらのケースは全て狭い門真市内で起きている事だ。将来像を描けない若者の鬱屈した精神が犯罪を招くのか、目の届かない場所で起こる貧困の闇は底知れぬ。

まずは門真市駅を離れて、妹メリケンサック暴行致死のあった本町界隈を目指す事にした。門真市本町は隣の西三荘駅の方が近いが、ひとまず途中の街並みも合わせて眺めて行く事にする。駅前に走る中環のガード下を過ぎると目の前にはラブホの立て看板。

駅前には大型のマンションなどもあるが少し離れると門真ならではのボロ木造住宅が密集する下町風景が現れる。潰れたお好み焼き屋が1階に入っているこの木造二階建てアパート、オンボロ具合が凄まじい。いわゆる「文化住宅」の走りであろうか。

文化住宅という呼び方は大阪独特のもので戦後の住宅困窮期に建てられたアパートを「人が文化的に生活出来る住宅」という意味合いで呼んだものだとか様々な説がある。

戦後間近の頃は国民総ホームレスで橋のたもとや廃棄されたバスの中だとかで暮らしていた訳だから、それと比較すれば確かに文化的っちゃ文化的な訳だ。

門真駅西側、栄町あたりの街並みの煤けっぷりも、貧民街の雄・西成区あたりで見る風景とさほど変わらない。松下電器の関連で働く工場労働者の移住が盛んだった頃に次々作られた文化住宅だらけの街並みがそのまま残っているのである。

狭い路地が続く中にぽつりぽつりと商店街の街灯が置かれている。寂れ方が半端ない「栄町商店街」。しかし商店街というよりも居酒屋とスナックばっかりなんですが、基本的に呑んだくれのアル中にしか需要がないという事だろうか。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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