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阪急十三駅前の著作権違反ストリート・波平通りから「鉄わん波平」が消えてしまった件

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大阪の十三(じゅうそう)という街は阪急梅田駅から電車ですぐの位置にある下町であり歓楽街。神戸線、宝塚線、京都線と阪急の主要三路線が3つに枝分かれするのがここ十三であり地味に交通の要衝でもあるが、十三駅を降りると駅を中心に実に大阪らしいオッサン臭い街並みが広がっている。実はこの十三駅前に平気で著作権法違反なキャラクターを堂々とトレードマークにしていた商店街があった。

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その名も「波平通り」。身体は鉄腕アトム、顔だけが磯野波平という、何のひねりもユーモアもないパクリキャラが堂々と商店街のトレードマークになっている中国の石景山遊楽園も顔負けの開き直りっぷり。一応正式名称として「十三駅前西商店街」という事になっている。

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だが2012年末、久しぶりに十三駅前の波平通りに立ち寄ると決定的な異変が起こっていた。商店街のトレードマークだった街灯の「鉄わん波平」看板が全て撤去されてしまっていたのだ。いつかこうなるのではないかと思っていたが…鉄腕アトムとサザエさんの著作権管理者に喧嘩売ってた訳ですからねえ。常に遵法精神が希薄なのが大阪の地域性なのだがさすがにマズイと考え直したのだろうか。

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街灯看板のうち鉄わん波平の絵が描かれていたプラスチック板のみが撤去されて「WEST13」と書かれただけの白地の看板に差し替えられている。著作権破りなキャラのシルエットだけは相変わらずそのまんまという中途半端な状態。そして波平通りの愛称も無くなっていた。

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何故「鉄わん波平」なるキャラが十三の地に根付いたか、その歴史を遡ると1990年代の「サザエボンブーム」が出てくる。十三駅前の路上に店を構えていた「TOY魔人」なる露天商が自主制作していた「サザエさん」と「バカボンのパパ」を合体させたキャラ「サザエボン」のグッズから人気に火がつきテレビに紹介されるまでになって、福岡の業者がこのブームに目をつけ大量生産を始めた所、著作権を持つ赤塚不二夫と長谷川町子美術館に訴訟を起こされた(サザエボン事件)。

サザエボン

これを当初は「関西ならではのパロディ文化から生まれた商品や」と業者が開き直るも裁判で負けて製造中止、十三のTOY魔人も製造自粛に追い込まれた。後に韓国版サザエボンが大量に出回りシェアを奪われた事で福岡の業者が潰れてしまったとネット上には情報があるが古い話なので確証が乏しい。「鉄わん波平」は、このTOY魔人が造っていたパクリキャラコレクションの一品だったそうだ。

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波平通りは他の路地裏商店街と同じく十三という土地柄らしくチープな居酒屋やパチンコ屋が路地に密集している実におっさん臭い商店街となっている。それは昔も今も変わる事がない。戦前の郊外開発の時代からセレブタウンが多い阪急沿線の街は比較的お上品だとか言われてはいるものの、梅田から各路線の電車に乗ると特急だろうと何だろうとどの電車も必ず十三駅で停車し、コテコテの下町臭い空気を取り込んで郊外に走っていく。沿線文化のブラックホールというか掃き溜めというか、まるで隙間のような場所。

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またしばらく来ないうちにこの商店街のオッサン臭を盛り上げてきた昭和の佇まいを残す「オールナイト十三サウナ」の店舗が廃業してしまっているのを目にした。場所柄どのような客層を相手にしていたのか容易に判断できてしまいそうだ。しかし玄関周りにはバリケードが張り巡らされている。

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店先に掲示された張り紙によると平成21年11月末をもって営業終了とあった。かれこれ3年以上が経過している訳だが建物ごと放置されているところも、なんだか十三らしい。

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しかし相変わらず意味の分からない怪しい店が多すぎて笑いが止まらない十三界隈。さすが大阪だと感心せずにはいられないが大人の事情によりこれ以上ツッコミはやめておきます。パチもんバッタモンが出回るにはお似合いな猥雑極まりない魅力的な十三の街並み。定期的に来たくなりますねえ。



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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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