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【伊丹市】中村地区は消えても”戦後”は消えない…大阪空港隣の在日コリアン集住地「桑津地区」を歩く

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昭和15(1940)年からの大阪第二飛行場の空港拡張工事で集まった朝鮮人飯場の時代から戦後の長い時期を潜り抜けてきた、大阪空港隣の在日コリアン集住地域である伊丹市の「中村地区」。日本国内屈指の不法占拠スラムとして名高い当地も2008年に市営住宅が建設されてからは住民達が立ち退き、下水道もろくに整備されていない、かつての劣悪なスラムはすっかり姿を消した。

不法占拠スラムの住民や事業所は中村地区の南隣にある「桑津四丁目」に全て移転しているのが現状であるが、この桑津地区も中村同様に在日コリアンが非常に多く住むエリアである。伊丹市の中心市街地からは猪名川を隔てていて、その上さらに空港に挟まれているというエクストリームな立地、ここで戦後70年余り、在日コリアン住民は足を踏ん張って生きてきたのである。

かつての中村地区住民が暮らす「市営桑津住宅」へ

現在、中村地区にあった不法占拠スラムで生活していた住民はその全員が中村地区の南側にある桑津四丁目の「伊丹市営桑津住宅」に転居している。2008年に完成した真新しい市営住宅は、かつての劣悪な不法占拠スラムの家屋とは違い上下水道も完備、防音対策も万全という、至れり尽くせりっぷり。家賃もさぞかしお安いに違いない。

市営住宅完成の翌年2009年までに中村地区住民の転居が全て完了し、その後、不法占拠スラムが解体された。そして市営住宅自体は非常に綺麗だが、案の定というか、通りがかる人々は決まって高齢者の姿しかない。

団地内には遊具のついたちょっとした公園も併設されていたり、広々とした駐車場や集会所も整備されている。中村地区の場合はこういう決着方法になったが、どうも京都のウトロ地区の方も市営住宅が建設中で、同じような流れになる模様である。

市営住宅の敷地内には住民達の「祖国の花」であるムクゲが植えられていた。この地域では終戦の年から64年目で「戦後」を終えた事になる。中村地区の不法占拠スラムの跡地は完全に空き地のままで、何も無くなってしまっている。2010年以降に撮影された現地のストリートビューで見ても、その当時の様子は見られない。

歯抜け土地が点在し朝鮮学校がそびえる桑津地区を見る

しかし、中村地区の南側にある桑津地区は未だに終わっていない「戦後」の匂いを漂わせている。伊丹市街地に通じる桑津橋のたもと、猪名川の土手沿いから街並みを見てみるとゴチャゴチャした住宅街が取り残されているのが目につく。

その一角に校舎を構える「伊丹朝鮮初級学校」の建物も昔のままである。朝鮮総連の傘下である学校法人兵庫朝鮮学園が運営する朝鮮学校の一つとして終戦直後からの歴史がある。兵庫県内の朝鮮学校も生徒数減少による統廃合が相次いでいるが、ここは今なお現存している。

こちら「伊丹朝鮮初級学校」の土地もまた伊丹市の市有地で、30年以上にわたって相場の20分の1という格安賃料で土地を貸与している事が報じられている。こういう問題は関西の朝鮮学校では”あるある”過ぎて、いちいち突っ込む気にもならんくらいです。

さすが北朝鮮テイスト満載なウリハッキョの校章も香ばしい。ここは伊丹市の小さな朝鮮民主主義人民共和国でございます。

まだまだ住環境壮絶なガチコリアタウンが残ってました

で、この朝鮮学校の周辺にはかつての中村地区同様沢山の在日コリアンが居住している。路地に入ると、隣の森本地区と同じように「関西エアポート」が管理する歯抜け空き地(元国有地)があちこちに点在していて、昭和感溢れる古ぼけた民家が密集する光景が現れる。中村地区が消えても、まだ「戦後」は終わっていない。

この辺は中村地区とは違って不法占拠状態でも何でもないようなので、別に立ち退きで団地に建て替わったりする見込みもない。しかし素人目に見ても環境的には中村地区とあんまり区別が付かないんですがどうなんでしょうか。

中には迷路のようにクネクネ折り曲がった路地まであり、地域住民が高齢化してしまった今の時代にはさておき、一昔前なら血の気の荒いオッサンとかが出てきて因縁でも付けて来られそうな気配すら感じる。

ここいらは家の表札が半分以上在日コリアンのものと明らかに分かるお宅ばかりで、大阪の猪飼野や京都のウトロと比べても迫力では負けていない。とあるお宅の軒先には「大阪朝高 ガンバレ」を意味する「오사까조고 이겨라」とハングルで書かれたタオルが干されていた。恐らくサッカーやラグビーの強豪校として有名な大阪朝鮮高級学校の事でしょうね。

桑津地区にある小さな運動広場。昭和62(1987)年に財団法人航空公害防止協会による整備事業で寄贈されたものであるという旨が掲示板に記されていて、ここも場所柄を感じさせるが、一応「ゲートボール場」だったらしい。草ボーボーで荒れ果ててますけど…

そんな公園の入口に「公園出入口 車を止めないで 犬を入れないで」とキティちゃんの顔や身体に直接マジックで書き殴る住民からの不穏な警告メッセージ。桜の木に括り付けられたまま、首の部分で縛られている可哀想なキティちゃん。彼女はいつ如何なる時にも仕事を選ばない。(かれこれ10年以上この状態のままです)

伊丹市街地に通じる桑津橋近くの西桑津交差点付近にも韓国食品店が何軒か見られる。ローソン伊丹桑津二丁目店の左隣に「高麗フーズ都」という店があり、ここは韓国食材やゆで豚といった在日コリアン向けの品揃えだけに限らず、なぜかソフトクリームの旗を立てていたり「立ち呑み処」とも書かれていたりして、随分と賑やかである。

さらに県道99号(伊丹豊中線)沿いにも韓国食品店や韓国系キリスト教会などが連なっていて、こちらの住所は厳密には桑津ではなく森本にあたるが、あの宅間守の実家にも近い場所でもあり、色々と業の深さを感じずにはいられない。

神社に小動物の死体が捨てられていた件

伊丹の中のリトル朝鮮と化している桑津地区だが、そんな場所にも土地の氏神様はいるもので、県営伊丹西桑津団地の北側には「桑津神社」が鎮座している。何の変哲も無い神社でしかないが、生粋の日本人にとっては唯一の回復系スポットである。

しかしそんな神社の中にまで小動物の死体を捨てる連中がいるのだから油断ならない。犬なのかイタチなのか、損傷激しすぎて判別不能ですが、どう見ても自然な死に方じゃあない。大阪空港に隣接する伊丹市桑津、そこは常に不穏な空気が張り詰めている街である。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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