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【大阪市最北端】誰も行かない今里筋線の終着駅「井高野」を降りたらそこは市営住宅だらけの街だった

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十年一昔、2005年頃にテレビ報道に端を発した「大阪市職員厚遇問題」で批判の矢面に立ち、殆どの路線で赤字運営に甘んじていた大阪市交通局の地下鉄・バス事業。そう言えばドイツからわざわざベンツ車両を取り寄せて老人と空気を運んでいた「赤バス」も廃止されたし、地下鉄の赤字路線の多くも昨今の外国人観光客によるインバウンド効果で黒字に転じ、大阪市交通局もいよいよ来年平成30(2018)年4月から民営化する事が決まっている。

そんな中で未だに当の大阪市民にさえその存在を忘れ去られている不可解な路線が、大阪市営地下鉄8番目の路線として2006年12月に開業したオレンジ色のラインカラーが特徴的な「今里筋線」である。井高野-今里間の11.9kmもの区間を結び、計11駅が存在している。

写真は2006年開業当時の告知ポスターである。この路線は市営地下鉄各線で唯一都心部を通らず、大阪市の東側を南北に通っているだけ、という珍妙なルートで、地下鉄建設に2,718億円もの莫大な費用が掛かっているのに対し、開業以来10年以上が経過した現在でも赤字続きで、営業係数は250超え(100円稼ぐのに250円必要)という最悪の状況を脱しておらず、今里筋線の湯里六丁目方面への延伸も大阪市の財政難や費用面の問題から計画の目処が立たないままである。

観光客はおろか大阪市民の大半ですらまともに一度も乗った経験がないかも知れない「今里筋線」に乗ってその最果てまで行くと何があるか、そこには「井高野」という聞き慣れない地名の駅がある。今里の近くにあるコリアタウンはイカイノだが、こっちはイタカノである。大阪市最北端の街でもあり、市営地下鉄の駅としても同様に市内最北端。ここに来るまでに梅田からだと谷町線太子橋今市駅経由で約25分、難波からだと千日前線今里駅経由で約40分掛かる。遠い…

今里筋線は地下鉄不毛地域・東淀川区民待望の足だった

まだ真新しさの漂う今里筋線井高野駅構内。90年代のバブルの残り香きつい時期に建てられ無駄に豪華仕様である長堀鶴見緑地線とは対照的にホームのデザインや設備はほぼ統一されていたり、バリアフリー対応が進んでいるためエレベーターが大型だったりするのが特徴である。しかし当の利用者自体が滅法少なく、駅を利用する客の姿も他の地下鉄路線と比べても段違いに少ない。

グーグル先生に「今里筋線」の事を聞いても無情にも「なぜ作った」「いらない」等の検索ワードを返してくるくらいに存在意義の無さを辛辣にあげつらわれている路線であるが、実はこれまで地下鉄不毛地域だった東淀川区にだいどう豊里、瑞光四丁目、井高野の3駅が開業し、一部の東淀川区民が有難く使っているのである(写真はだいどう豊里駅構内の今里筋線PR広告)。ちなみに今里筋線の開通で大阪市24区のうち市営地下鉄が走っていない地域は西淀川区と此花区だけとなっている。

井高野駅で降りたら市営住宅だらけだった件

さて、そんな井高野駅で降りたら何があるのか…と1号出入口から地上に登ると、その背後には五階建ての市営住宅が。井高野駅、と名乗っているが、住所は東淀川区北江口三・四丁目に属しており、地下鉄駅の真上は大阪市営北江口第二住宅となっている。

2号出入口も同様に市営住宅が連なる光景。大阪市内が一部の地域を除いて市営住宅だらけで低所得者層・生活保護受給者世帯が異様に多いのは慣れっこであるが、こんな大阪市の北東部の最果てでも、きっちりその傾向は同じなのである。尻尾まであんこの詰まった鯛焼きの如く、市内の端の端まで貧民地帯ですっぽり覆われているのが大阪市の現実なのである。

この周辺一帯の航空写真を見ればすぐに分かるが、東淀川区の最果てとなる井高野・北江口・南江口といった地域は大半がこのような市営住宅が林立する街並みとなっている。大阪市民にとっては見慣れた住宅地の風景なのだろうが…

このへんは戦後まで田畑が広がる農村地帯だった地域に、ニコイチ市営住宅を大量にぶっ建てて、当時大阪市内に急増した工場労働者世帯などの住居を整備したのが始まりになっていて、その多くが80年代までに中層・高層棟に建て替わっている。その昔、鷹が生息していた野原だったので「居鷹野」と言われ、それが井高野の地名の由来、という程、何も無かったらしい。

そして市営住宅の窓という窓には同じ公明党の國重徹衆議院議員(大阪5区選出、創価大学法学部出身)のポスターがこれ見よがしに貼り付けられまくっていて、支持母体の信者である住民の厚い信仰心を感じずにはいられないのである。大阪市内どこでもこれはデフォですけどね。はい。

しかしよくもまあこれだけ大量の市営住宅を建てまくったものだなと驚くしかないんですが、東京で例えるなら竹ノ塚の先の花畑団地に地下鉄を掘って、竹ノ塚じゃなくて綾瀬に通したようなもんで、全くもって使い勝手も悪いし、市営住宅の住民も概ねマイカー持ちでそれほど地下鉄の需要は無かった訳で、元々の見込み違いが今里筋線の赤字の原因なのである。

市営住宅が多い土地というのは果たしてどういう事かは言うまでもないが、井高野周辺は東淀川区で最も治安が悪い地域だとネット上に書かれていたりする。地域の掲示板には東淀川警察署の名義で、このような生々しいデザインの「車上ねらい」「女性被害防止」の啓発ポスターが貼られている始末。

他にも井高野・北江口各所を歩き回っているとこのような治安の悪さを裏付けるような看板がそこかしこに置かれている。昼間歩き回る分にはちょっとだけヤンママや炭水化物摂り過ぎ系肥満住民が多いくらいで別段何も思わないのだが、夜は不要不急の外出は控えた方が良い地域なのだろう。ちなみにグーグル先生に「井高野」の事を聞くと「治安」「事件」「井高野中学校 ヤンキー」と返してくれる。

井高野・北江口・南江口の市営住宅に中国人が増えている

しかもそんな市営住宅に中国製の巨大なパラボラアンテナをベランダに設置するお宅が目立っている。以前当サイトでも門真団地の例で取り上げたが、この井高野周辺の市営住宅も近年はじわじわとチャイナ化が進んでいるらしい。

さらに神崎川を挟んだ南側、南江口の市営住宅(市営南江口第二住宅)にも巨大パラボラアンテナを付けたお宅が結構あちこちにあった。門真団地ほど顕著ではないにせよ、注意深く観察していると団地一棟に1つ2つ、あるいは3つ以上付いている事もある。

築年数の進んだ公営住宅が中国人労働者世帯の新たな集住地域になっているのは近年首都圏や関西では顕著な傾向である。ここも門真団地と比べれば都心からの距離やちょっとアレな住環境もそこそこ似通っていて、彼らの働き口となる摂津市の工場地帯にもチャリ通勤できるほど近い。

特に南江口の市営住宅群は東海道新幹線の車内からもその様子を拝む事ができる。そもそもこの場所の様子が見たかったのも、走る新幹線の中から妙に巨大パラボラアンテナの多い市営住宅が見えて、それがこの場所であると突き止め、俄然気になっていたからだ。新幹線の車窓でおなじみ、田んぼの中に建つ「727化粧品」の広告よりも、我々はそういうものの方に興味を惹かれる。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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