この記事を人に教える

【森ノ宮】大阪市内にある忘れ去られたもう一つのコリアタウン「東成区中道」を訪ねる

この記事を人に教える

【キュレーションメディア等、他サイトへの記事中の文章・画像無断転載厳禁】

全国最大の在日コリアン人口を誇る大阪府、その中で最も有名なのが大阪市生野区界隈で、これ単体でもお腹いっぱいになりそうなボリューム感なのだが、何も生野区にあるコリアタウンだけが全てではないし、生野区は御幸通のように逆に有名化し過ぎてイカニモ感漂う韓流観光地となってしまっていて、かえって興醒めしかねない勢いだ。

だが、大阪市内にはまだまだ知る人ぞ知る的なDEEPな在日コリアン集住地が潜んでいるものである。やってきたのは鶴橋からJR大阪環状線で二つ隣にある「森ノ宮」だ。随分駅舎が綺麗になって、駅メロまで「森のくまさん」だし随分雰囲気がゆるくなったが、ここは大阪城公園に面した一角ばかりがイメージされがちで、大阪市中央区、城東区、東成区と三区の境にもなっているうち、東成区側がガチなコリアタウンとなっているのに、あまりその事が知られていない。

森ノ宮駅を出てまずは中央大通沿いを東へ。割と関西にはよくある建築家・遠藤剛生デザインのマンション「森之宮スカイガーデンハウス」やら阪神高速を挟んだ北側のUR森之宮団地といったゴツい建築物を横目に進む。

ここには「大阪府立成人病センター」もあるわけですが、ここも中央区大手前にある「大阪国際がんセンター」に機能が引き継がれ2017年3月で閉鎖されていて、でかい病院の建物が解体の時を待っている。ここから北側は戦前期には旧陸軍の「城東練兵場」の広大な敷地の一部で、現在は大阪市交通局の地下鉄車庫になっていたり、森之宮団地になっている場所である。

在日コリアン向け民族学級がある「北中道小学校」

中央大通の「森ノ宮公団住宅前」交差点から通りを南に折れた先にある大阪市立北中道小学校。ここでは日本の公立小学校で加美小学校などと共に昭和25(1950)年に設置された最も古い歴史を持つという在日コリアン向け「民族学級」がある。全生徒数の三割程度が韓国・朝鮮籍の在日コリアンという事情を鑑みてか、校庭に韓国国花のムクゲまで植えられているという徹底ぶり。民族学級は大阪の生野区や東成区の小学校では別に珍しいものではない。

この北中道小学校の校区となる東成区中道二・四丁目の住宅地を歩くと、建っているお宅の表札の半分くらいが韓国名を掲げていたり、日本名(通名)併記である事に気づく。鶴橋とタイマン張れそうなほどに在日コリアン住民が多い地域である。

とは言え、生野区の御幸通あたりで見かけるような、路上でおばちゃんがキムチに使う野菜を切っていたり、あちこちに韓国料理屋があるようないかにもなコリアン感は皆無で、活気もなく全体的に雰囲気がしょぼくれている。

表札に古い韓国民団のマークが飾られているお宅がある

しかし、とあるお宅の玄関には古びた韓国民団の団員章プレートが貼り付けてあるのが見られた。それも「在日大韓民国居留民団」という表記は1994年以前のものだが、「國」とか「團」という旧字体を使っているあたり、結構な年代物であろうと思われる。

朝鮮総連の施設もある東成区中道

韓国民団もあれば朝鮮総連もあるのがガチなコリアタウンの証。中道二丁目の東端部を流れる平野川分水路沿いの一角にそびえる三階建ての茶色い外観のビル、ここが朝鮮総連東成支部である。一階部分はトランクルームにして家賃収入を稼いでおられるようですよ。

朝鮮総連東成支部の玄関前にはちゃっかりとディスカウント自販機も置いてある。ちなみにどうでもいい話ですが、最近は在日コリアンの聖地・大阪民国でも韓国産のオカルト飲料「メッコール」の自販機をてんで見かけなくなりました。メーカーが統一教会系企業なのはよく知られている。

朝鮮総連東成支部前の掲示板には同じ東成区にある中大阪朝鮮初級学校の同窓会の告知ポスターが貼られていた。昭和23(1948)年創立…朝鮮民主主義人民共和国こと北朝鮮が建国された年である。しょっちゅう弾道ミサイルを飛ばし国際社会を威嚇しまくる金正恩政権をどう思ってるんですかねこの人達。

朝鮮総連のビルの隣には平野川分水路が流れている。平野川の本流とは離れており、生野区巽南から分岐して流れている。戦前期にこの平野川の開削工事で当時日本統治下だった朝鮮半島から多くの労働者が流れ、在日コリアン一世として戦後の日本社会に残ったのだ。そう考えると平野川は非常に因縁深い川なのである。

そんな平野川も水質の程はお察しの状況で「きれいな川になったらええなぁ」と「モツゴちゃん」も願っているようですが、平野川沿いは工業地帯も多いので水質改善は望めません。

元町銀座街という廃れアーケード街もある東成区中道

東成区中道二丁目に「元町銀座街」(中道元町商店街)という古びたアーケード街が残っている。元町で銀座だもの、さぞかし立派な商店街…だっただろうが、今ではアーケードの屋根も破けているしどうにも廃れた感が否めない。旧地名では森町南および中道元町に属している。

既に廃業した店も多く、年代物のコカ・コーラの看板だけを残す元店舗のシャッターには公明党ポスターが抜け目なく貼り付けられている。大阪の下町ではどこもかしこも「希望がゆきわたって」いるようです。豆腐屋一軒だけが朝っぱらから元気に仕込みをしているだけだ。

やはり在日コリアンが非常に多いという土地柄だけあって商店街には「ホルモン」と書かれた肉屋がやたらと多いのだが、その大半が廃業しているという寂しい状況を呈している。大阪の在日コリアン系記事が充実している古参ウェブサイトの管理人である、故・高仁鳳氏も幼少期にこの場所にあった長屋で過ごしていたと述懐している。

アーケード街の南側にある「大森食料品店」は今でも現役で韓国食材を販売する専門店となっている。「キムチ・チャンジャなど全国宅配承ります」とのこと。

鶴橋や御幸通が韓流観光地として脚光を浴びて沢山の観光客や韓国人が行き来する光景が見られる一方で、誰の目にも触れず忘れ去られていくコリアタウンもまた存在するのである。東成区中道は明らかに後者である。


The following two tabs change content below.
DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
タグクラウドから記事を探す
DEEP案内編集部のnote

知ってました?DEEP案内編集部のnote

ネット上で大っぴらにするのはちょっと憚られる内容の記事は「DEEP案内編集部のnote」で書く事もたまにございます。全て100円からの有料記事となっておりますので興味のある方のみご利用下さい。

この記事を人に教える

トップへ戻る