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大阪市無駄物件図鑑「アジア太平洋トレードセンター」

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大阪市最大級の赤字遺産
大阪市の人工島・南港「咲洲」。そこに一際目立つ、西日本最大の高さを誇る「WTCコスモタワー」の向いに、巨大商業施設「アジア太平洋トレードセンター(ATC)」がある。
どちらも官主導の計画で作られた超ド級の「ハコモノ」で、大阪市の第三セクターが運営する施設だ。
アジア太平洋トレードセンターITM棟
本来ならばその名の通り、アジア・太平洋地域の国際貿易拠点として数多くのテナントを誘致し、大阪を国際都市たらしめようという名目で作られたはずのビルだった。総工費は驚きの1465億円。


だが開業当初から、都心から交通便の悪い南港コスモスクエアの中にあり、梅田から地下鉄で片道480円掛かると言う「OTS(大阪港トランスポートシステム)線」二重料金制度も相まって、企業の誘致は全くはかどらなかった。(OTS線の二重料金は2005年7月に解消され、現在は大阪市交通局が運営している)
毎年凄まじい金額の赤字をはじき出し、2003年6月に、WTC(大阪ワールドトレードセンタービル)、MDC(湊町開発センター)の3社合同で計580億円の債務超過を抱え、特定調停を申請、事実上の「破綻」を迎えてしまった。
大阪日日新聞:三セク問題で揺れる大阪市 2次破たん 根強い懸念
現在でも12階建ての巨大なITM棟はその大半が空きテナント。ATC自体、今ではトレードセンターとは名ばかりの、平凡なショッピングモールになっている。
そんなATCへの最寄り駅は「トレードセンター前駅」。
トレードセンター前駅からATC内へ
駅を降りると連絡通路を通ってすぐにATCの中へ入れる。相変わらず大雑把ででかい空間が広がっていた。ATC内部はO’s(オズ)という名前のショッピングモールの南館と北館、そしてITM棟の3つの建物に分かれる。
左に行くとO’s棟、右に行くとITM棟。O’sのほうはそこそこ店も客足もあってまだ見れたものだが、問題はITM棟のほうである。まずはそちらへ向かってみた。
ATCタウンアウトレットMARE
ITM棟の中にも一応様々なテナントが入っている。代表的なものとして、4階から6階のテナント半分に入っている「ATCタウンアウトレットMARE」、6階から8階には「IDC大塚家具南港ショールーム」など、ホームページを見る限りは何の問題もなさそうだが、ぜひ現場に足を運んで見て頂きたいのは、3階から上の部分である。
ITM棟館内
ITM棟館内
ITM棟館内
ITM棟館内
あまりの数の空きテナントに腰を抜かす事請け合いであろう。建築物としてのインパクトも同様に腰抜けモンである。仕方なしに穴埋めで大阪市の関連施設が入居している(3階:「商い繁盛館」「大阪市消費者センター・くらしのひろばエル」)しかしそれでもとても埋めきれることはできない。
ITM棟館内
ATC内は館内全域が保税地域に指定されていて、本来の施設の目的である国際貿易の拠点としての機能を一応は保有しているのだ。大阪市はWTCに次いで、ATCまでも豪華で巨大なハコを用意して、国内外の貿易業者を貪欲にかき集めるつもりだったが、目論見はものの見事に外れてしまった。
空きテナント群
空きテナント群
空きテナント群
現在はわずかばかり、中国の貿易会社などが入っているようだが、大半が貿易とは関係のない企業ばかりが入居している。空きテナントの中には入居企業のモノ置き場や展示室として、えらい大雑把に使われている所もある。しかし開業当初から一つも変わらぬこの状況には目も当てられない。
空きテナント群
↑実はこの写真の防火シャッターの向こうにも空きテナントが隠れている。
ATCは破綻後の2004年に社長を民間から起用し(前伊藤忠商事副社長・秋本穣氏)、翌2005年には初めての黒字決算を計上したと言われる。OTS線料金不要となった2005年7月以降は来客が2割増えたという。
健常な経営状態に戻すまで時間は掛かると思われるが、長い道のりをようやく歩き始めたような、大阪最大の赤字遺産の行く末を見守っていこう。
参考記事
大阪ベイエリア研究会
アジア太平洋トレードセンター – Wikipedia

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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