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【尼崎市】アマの北の外れ、武庫之荘八丁目に取り残された昭和のマーケット「尼宝市場」

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尼崎市北西部に位置する街「武庫之荘」を南北に貫き、尼崎市内と宝塚市を結ぶ兵庫県道42号「尼宝線」沿いに廃墟寸前状態になっている市場が存在すると聞いて現地を訪れた。

尼宝線と言えば尼崎市の最も西側を武庫川に沿う形で南北に走っている幹線道路であるが、この道路沿いにある「尼宝市場」が今回の目的地だ。住所は武庫之荘八丁目にあたるが、阪急神戸線武庫之荘駅からは2キロ以上離れていて、路線バスを使わなければ来るのが難しい。

尼崎市の北の外れに忘れ去られた昭和空間が…

尼宝線が山陽新幹線の高架とクロスしている「武庫之荘9丁目交差点」の南東角にこの市場は存在している。見た目には棟割長屋的な戸建住宅がびっしり十数棟横並びになっている風に見えるが、ところどころベニヤ板で窓が塞がれた家があったり「貸店舗」の看板が掛かった空き家なんかも見られる。

それはそうと尼宝線の”尼宝”って、「あまたから」なのか「あまほう」なのか、それとも「にほう」なのかハッキリしません。従って尼宝市場もどう読むのか知りませんが、どうも関東で言うところの”埼京線”的な湯桶読みに倣って「あまほう」と読むのがポピュラーなようです。ともかく「アマ」という読みが馴染み深いので、そうなるのが道理か。

そんな、年中交通量の多い尼宝線沿いにそびえる、目立った場所にある市場であるが、既に時代遅れも甚だしく役目を終えましたとばかりに老いぼれた姿を晒し、買い物に訪れる人の姿もない。

新幹線の高架下のある北側を向いた尼宝市場入口。真っ暗なブラックホールのような中央通路入口の両側に焼き鳥屋と神戸肉と書かれた肉屋がある。一昔前は隣接する武庫工業高等学校(現・武庫荘総合高等学校)の学生御用達だったらしい肉屋のコロッケも、10年以上前に店が潰れてしまったらしく、買う事もできない。

市場の特売日などが張り出されていたであろう、市場玄関に置かれた古い掲示板も廃れゆくまま放置プレイである。ネット上で調べると、一部のレトロ市場探訪マニアのブログか、2005年くらいの古いmixiコミュの書き込みくらいしか出てこないのだが、まだ10年前は市場として辛うじて生きていたようだ。

真っ暗な市場の入口に足を踏み込むも、中も殆ど照明が灯っていないので暗すぎてしょうがないのである。完全に役目を終えたとしか判断できない廃市場である。写真は加工していて明るめになってますが実際はこんなものではありません。暗い、暗すぎる。

両側をシャッターが閉まったままの店舗で覆われた尼宝市場内の風景。出来の悪いタイムトンネルのような風情すら漂う。こういう廃れ市場、尼崎や神戸市内の下町エリアではちょいちょい増えている。

市場の中央通路に残るかつての店舗の看板。薬局の名前にも近所の団地や公園や神社の名前にもあちこち「時友」という地名がついているが、室町時代の古文書に記されているような恐ろしく古くからの地名らしい。

通路の途中から完全に外の日光が届かないエリアがあって何やら不穏なのだが、市場の真ん中あたりで外と出入りできる十字路がある。この奥の通路も生活している住民のお宅の玄関があったりするが、真っ暗で何があるかよく分からないし、よそ者が深入りする用事もないので遠慮しておいた。

その十字路を折れて尼宝線側に出る。まだ何軒か細々と営業している土着酒場が存在している。「居酒屋えらぶ」というのは何かを選んでいる訳ではなく、オーナーの出身地か何かである鹿児島県沖永良部島の事を指しているんでしょうか。奄美諸島出身者が多いのが尼崎市という土地です。

尼宝市場の建物を東に出た図。隣接する高等学校や市営住宅への近道である。昔はこの場所でもベタな下町住民の日常風景が見られたのだろうが、今となってはほぼ無人状態。武庫之荘駅からも遠く離れた不便な立地ではやむなしか。

時友団地、時友ショッピングセンター…

尼宝市場の東隣に立ち並ぶ尼崎市営「時友団地」。5階建ての中層棟が10棟連なる古い市営住宅である。尼崎市北部でもこのへんまで来ると少し田舎臭くなってくる訳だが、こんな場所にまで市営住宅がぽつぽつ点在しているのがアマという街である。少し北に行けば伊丹市に入ってしまう。

団地の住居棟それぞれには随分と特徴的な形状の受水槽が設置されているが尼崎市独自のものでしょうかねこれは。他の棟はごく普通の形状だが、なぜか8号棟のみがスターハウスである。

なぜか団地の建物から外され無造作に置かれる団地名が書かれた定礎石的なプレート。昭和37(1962)年築の古い古い市営住宅、それが時友団地である。隣の尼宝市場とどっちが先に出来たんでしょうかね?

さらに新幹線の高架の北側、尼宝市場の斜向かいには「時友ショッピングセンター」と称するちょっとした長屋タイプの商店街が見られる。

ちょっとした街の電器屋とか、ちょっとした調剤薬局とか、ちょっとした喫茶店なんかがある時友ショッピングセンターの真ん前が阪神バス「時友バス停」になります。ここから阪神尼崎駅や杭瀬駅、宝塚駅の間を行き来する路線バスに乗る事もできる。

実は目の前を走る「尼宝線」は戦前まで阪神電鉄の子会社である「宝塚尼崎電気鉄道」による鉄道建設の為に整備された道であり、それが頓挫して県道となった今でも当初走らせる予定だった鉄道の路線と被るバス路線が存在する、というのを知ったのは後になってからだった。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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