下町遺産・西天下茶屋 (2) 超レトロ商店街

西成区がDEEPなのは何も釜ヶ崎や飛田あたりだけを見て言っている訳ではない。西天下茶屋の銀座商店街はじめ、この界隈の下町のレトロ具合は半端ではないのだ。

やはりこの辺りの街も寂れている感は否めないのだが、かつては沢山の工場勤務者が住み賑わっていた痕跡が伺える。この街に漂う儚さもどこか心の琴線に触れるかも知れない。一番私が写真に収めたくなるのは、こういう風景だ。

しかしこの「マル屋」という喫茶店の存在がどうにも気になって仕方がないのだ。

まるで廃墟同然のような店構えもさることながら店の表の窓ガラスには...
「創業七十四年」
「いい物を安く!」

西成区でこのフレーズで出されるとスーパー玉出とかそういうのを想像してしまうのだが、なにせ創業74年、しかも手書きでセロハンテープというところがこれまたミステリアスな雰囲気を放っている。

「...と喫茶」
一見かすれて読めない部分は「ステーキ」と書かれているようだが、どう見ても肉の焼ける臭いもしない。

だがこの喫茶店、年中「年越そば」を出しているようである。なぜ年中出しているのか解るかというと、この張り紙自体が何年もそのままになっているからである。

よく見ると「年越そば」の周辺にお品書きが弱弱しく書かれている。
価格設定もなんだか弱弱しい。
「ざるそば 270円」
「肉うどん 250円」
「カレーうどん 250円」...270円を250円と書き直している
「やきそば 230円」
「カレーライス 250円」
「牛丼 250円」

弱弱しいどころか既にヤバいとすら感じる。聖地釜ヶ崎でもあまり見かけない価格設定である。
大丈夫なのか?!これは店に入れという意味だろ!と思って店の入口の扉を見ると...

なにやら読めない宇宙語が書かれていて結界のように我々の前に立ちふさがったのである。
友人に解読してもらったのだが
「都合により(本日)4時より営業...」までは読めたが後はわからなかった。

つまり店の中に突撃できなかったのだ。ああ、無念...

ちょっと落胆ムードで商店街の奥へと進む。だが、ただでさえ人通りのまばらな商店街が、さらにひと気が無くなってきた。シャッターが閉まったままの店も多い。

古い布団屋くらいならあるが、所謂「ちゃんちゃんこ」の専門店が残っているのはこの商店街くらいではなかろうか。このレトロ過ぎるテンションはただならない。

西天下茶屋の商店街で飲食店と言えば、やはりお好み焼き屋が目立つ。この地区ではコナモンがいかに常食されているか、想像することは容易い。

住民もジジババばかりなのかして、こうした健康水が重宝されるようで、給水機が置かれている。それにしてもピースボートのポスターと公明党のポスターだけはやたらめったら多い。

シャッターが閉まったままの店にも、まるで虫食いのようにビタビタと張られる公明党とピースボートのポスター。

だがここのシャッターの前はかなり雰囲気が異様だ。色々とどなたかの説教が書かれているのですが...

「『ぐち』を言うな 福にげる」
「人に親切・笑顔でいれば福が寄て来る」

「明るい人は必ず立直る」
「たった一度しかない一生をほんとうに活かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじやないか」

「私にとって旅は精神の若返りの泉だ」
「ありがとうという言葉が物の大切さを教えてくれる」

この中央の「むらお政利」さんが書かれた格言なんでしょうか(笑)
唐突に下町商店街の一角でほっこりする文章に出くわした。

生活保護受給率16%、驚異の貧民地帯である西成区のど真ん中で、いつどうなっても気持ちだけは清々しく居たいものですね(棒読み)

結構思っていたよりも広大な西天下茶屋の商店街。場所柄観光客は皆無。ホンマもんの天然の下町です。

途中、こんなY字路に出くわした。
Y字路って何だか萌えないか??
しかもアーケードつき商店街のY字路だぜ??

Y字路の右側にはこれまたお好み焼きの店が...コナモン多過ぎ。
大阪人がお好み焼きをおかずにご飯を食べる話は本当の話である。
なぜならソースが辛いと思った時に辛味を中和させたいからだ。

Y字路を右側へ進むとまたしてもたこ焼きの店に出くわす。
確かにダウンタウンなのだが、店の名前、英語の綴りがおかしいやないけ!というツッコミはなしで。
これが西成区民の英語力の平均値です(たぶん)

たまにある中華料理屋もどこかセンスがズレているのが西天下茶屋クオリティ。

「ひろや」という中華料理屋、トレードマークを何にしようと思って顔が「ハマムラ」のパクリでいってみたけど、おもいっきり無理しまくっているのがバレバレなのがわかります。ハマムラはよく出来ているのになあ。

一体いつの時代のものなのかわからないくらいの商店の廃墟。

埃の被り方からしても尋常じゃない時の流れ方をしているのだが、やはり借り手はつかないのだろうか。この店が中崎町とか空堀あたりなら喜んで借りる人が居そうだが、どうしても西成区というだけでイメージ的に不利なのか。

西天下茶屋の町は戦災を免れているだけあって、このように丸窓がついたモダンな洋風建築が残っていたりして、こういうのを眺めるだけでも楽しい。ウキウキ感全開である。大阪の下町好きはいっぺんくらい来ないとね。

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