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西成の歩き方 (12) 萩之茶屋編

リアルじゃりン子チエ 西萩町は実在した

大阪の下町を舞台にした、ホルモン焼の店を経営する小学生の少女と、ろくに仕事もせずバクチに溺れて周りの人間にたかりながら暮らすだらしない父親との生活と、下町に生きる人々の繋がりを描いた「じゃりン子チエ」という漫画の存在はあまりに有名である。

じゃりン子チエの舞台となった「西萩」という街のモデルが、西成区萩之茶屋周辺という事はにわかに知られてはいるが、現在の地名では西萩という地名そのものは存在しない。
しかしわずかでもあの漫画に描かれた大阪下町の姿が見られればと思い、少し寄り道がてらに覗いてみたのである。

スーパー玉出

西成の歩き方レポートの続編です。初めからお読みの方はこちらからどうぞ

地下鉄四つ橋線花園町駅のある国道26号の東側にあたる。しかしどこに行ってもスーパー玉出だらけやな、この界隈は...

実は「西萩町」という地名は、昭和48年に行われた区画整理による新住居表示適用以前には存在していた。現在の地名で言う西成区花園北・旭・鶴見橋の一部である。

大阪市内の殆どの町名が昭和48(1973)年までに全て「○○何丁目」という味気のない名前に変えられてしまった。そのときに生野区の「猪飼野」も町名から消えているのだ。古い町名から想像できたであろう歴史や特性をかき消してしまっている。アイゴー!創氏改名は許さないニダ!と怒らない大阪市民の奴隷根性はこの時期から存在していたともいえる。

居酒屋だらけ

今でも萩之茶屋駅周辺は、カラオケ居酒屋ばかりが目に付き、あの漫画に描かれていた昭和30年代の街は本質的にずっとそのまんまで今に続いている。

夕方にもなれば、仕事帰りのオッサンオバハンが行きつけのカラオケ居酒屋に寄り一杯ひっかけながら一曲唄いいい気分に酔いしれる。基本的に平均年齢が高いが、店によっては可愛い看板娘もいて、見逃せない。

駄菓子屋

そんな街だけど、子供の拠り所である昔ながらの駄菓子屋は今でも元気に生きている。学校帰りの子供が立ち寄りそうな、まさに学校の裏手にある駄菓子屋だ。

お好み焼屋

学校の横には道行く子供みんなに声をかける優しそうな爺ちゃんが立っていた。子供相手に、若い頃の戦時中の昔話を聞かせていたのが印象的だった。西成にはこういう風景もあるのだ。

大阪市立弘治小学校の北東角の路地に、旧町名「西萩町」を現す石碑が立っている。

西萩町

当時、萩の植え込みを持つ二軒の茶屋があったことから萩之茶屋という地名が付いたと言う。駅の西側にある町なので、西萩町。これがじゃりン子チエに出てくる「西萩駅」という名称と被るのは自明の理である。だが、実際の西萩町の町並みとじゃりン子チエの物語中に描かれる西萩とは位置関係が随分違うことも多く、本当にこの西萩町自体が「じゃりン子」のモデルなのか?という懐疑的な声もある。

萩ノ茶屋駅前

だが、この下町バリバリで、年がら年中飲んだくれのオヤジがうろうろしている風景を見れば、リアルじゃりン子チエだろ!と思わずには居られない。古臭いパチンコ屋とカラオケ居酒屋とワンカップ酒の自販機と、その隣にはやはりホルモン焼きの店がある。やっぱりここで間違いないだろう。

萩之茶屋ガード下

ガードの向こうは釜ヶ崎三角公園や西成警察などがある最強ゾーン。日の落ちた後にはあまり近付きたくない界隈だ。もっとも、この感覚すら偏見かも知れないと疑うのだが...

そこにはぜんざいの店が

こんな南海線の高架下も、風流な甘味処があり見逃せないのである。

南海萩ノ茶屋駅

多くの人を乗せて運ぶ南海電車。その多くの人々の生活が素通りする中で、まるで時代の流れに逆らうかのように、鍋底の錆の如く社会という鍋の底に溜まり残り続ける南海萩ノ茶屋駅前。高野線ホームしかなく、1時間に5本から7本の普通電車しか止まらない、便利なのか不便なのかよくわからん駅だ。

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