大阪駅前ビルと梅田の影の歴史
大阪最大のターミナル駅、そして猛烈に発展しているキタ・梅田。だがその一方で梅田の街には様々な裏の顔もある。大阪駅の南側に、少し年代の入った4つのビルが見える。「大阪駅前ビル」。
ここは当時の大阪市都市開発局の計画で、1970年~1981年までの間に「ダイヤモンド地区」と呼ばれる広大な再開発エリアに次々と建設されたビルである。
特に34階建て、高さ142メートルの第3ビルは1986年までは大阪一の高層ビルであった。
この再開発事業には裏話がある。
これらのビルが建てられる前、この場所にあったもの、それは戦後間近の闇市の時代から残る三国人による不法占拠のバラックだった。
大阪市の行政は、何食わぬ顔で人の土地に居座る彼らに対し多額の立ち退き費用を血税から支払い、これらのビルを建設した。
そして現在もそれらのビルがパチンコ屋やサラ金だらけというのが滑稽でならない。そんな建物と同じ場所に、地方公共団体の事務所やハローワークなどの公的施設が同居している。
勝ったら景品交換所、負けたらキャッシング(笑)なんてわかりやすい構図なのよ。
このような闇歴史を残す一帯の真ん中にあって、一例だけ例外がある。
無法状態の三国人の不法占拠を力で押し退けた人物がいた。
かつての「大阪マルビル」オーナーだった吉本晴彦氏。またの名を「ドケチ社長」という。
"ああ勿体ない勿体ない勿体ない"をお題目にする「大日本ドケチ教」の教祖でもある、有名な人物である。
同じ大阪なので知らない方は絶対間違えそうだが、吉本興業とは全く関係が無い。
大阪梅田の大地主だった吉本氏が、大空襲で焦土と化した自分の土地を戦後のドサクサで長らく不法に占拠されていたさなか、吉本氏は60人もの建設会社の労働者を率いて、ブルドーザーを使い強制的に三国人のバラックを破壊、撤去したのだ。
これは「梅田村事件」と呼ばれている。
後に吉本氏は出頭、取り壊されたバラックの住人側に起訴され、一審では敗訴したものの、控訴審で「正当防衛」と認められ逆転無罪を勝ち取った。
なお、「不動産侵奪罪」はこの事件がきっかけで作られたものである。昭和35(1960)年新設。
当然土地の不法占拠には暴力団も絡んでいたが、そこは「力には力を」である。敢然と三国人ヤクザに立ち向かったことで吉本氏は自らの財産を取り返した。
それから20年余り経った昭和51年(1976年)に、吉本氏が念願叶いその土地に建てたのが「大阪マルビル」なのである。
吉本社長のマルビルは、バブル崩壊後の業績不振で、現在は大和ハウス傘下になっている。だがその隣の西梅田再開発地区には、新しい「吉本ビルディング」、ヒルトンプラザウエストの建物が堂々とそびえ立っている。
「大日本ドケチ教」教祖でもある吉本氏の目には、現在の大阪市の体たらくはどう映っているだろうか。もしも、こういう人が市長になっていれば、大阪は今頃こんな酷い財政難には陥っていなかったはずだ。
大阪市役所の中の連中も、吉本社長の爪の垢を煎じて飲んでもらいたいくらいだ。
今もサラ金とパチンコ屋に占拠されている「官」の建物「大阪駅前ビル」と、豪華でハイソなホテルやブティックで占められる「民」の建物「吉本ビルディング」の差が、それを物語る。
戦後の梅田にも日本社会の縮図がある。
以下の記事は必見である。大阪人は読むべし。
参考記事
日本テレビ・知ってるつもり?!:2001/12/9 放送 ドケチ伝説「吉本晴彦」
ドケチ列伝:大日本ドケチ教の教組・吉本晴彦
読売新聞:玄関口にふさわしい街に―大阪駅前 <4>
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