レトロ娯楽の殿堂、新世界ここにあり
大阪新世界レポートの続編です。初めからお読みの方はこちらからどうぞ。何も通天閣に登って串カツを食べることばかりが新世界ではない。新世界で見逃せないのは、その町並みそのものであると言える。明治・大正・昭和・平成、世代を超えて続く娯楽の殿堂としての「新世界」の姿は、時代の流れの中で隅に追いやられようとも、この地で立派に根を下ろして生きている。
さて、新世界と言えば「スマートボール場」である。
昔懐かしい手動のスマートボール台。横から100円玉を投入すると、上から15個程度玉が降りてくる。それを1個1個キューで弾くのだ。当たりが出たら景品はお菓子とか、可愛らしいもんだ。現在のパチンコのように中毒性が高くて家庭崩壊させてしまうような危ない遊戯に比べたらね。
昔の夜店の屋台やひなびた温泉地のゲームコーナーにひっそり置かれているのをたまに見かけるくらいで、パチンコ店と同じ形態の「スマートボール専門店」は数えるほどしか存在しない。
全国規模でも、江ノ島・熱海といった観光地、温泉街を除けば、大阪・新世界「ニュースター」の他は、東京・浅草の「三松館」、それと愛知県の豊橋駅前ときわ商店街の「アサクラ」の3件しかない。
新世界の娯楽の王道と言えば、大衆演劇と成人映画だ。
「新世界朝日劇場」は、大衆演劇場として明治時代の「新世界」誕生からおよそ100年近い歴史を持つ劇場だ。
その朝日劇場に隣接するのは成人映画専門「新世界日活」。
どんな映画を流すかまではここには書けないぜ!
朝日劇場の少し向こうには、歴史を漂わせるモダン建築が強烈にインパクトを与える「新世界国際劇場」。
ここは1階部分は普通の映画が上映されているのだが、別個で「地下劇場」があり、そこでは成人映画が常時上映されている。値段は800円。西成のオッサン達のリビドーを発散させる場として、活躍している。古びた建物が、新世界独特の大衆文化の歴史そのものだ。
地下の成人映画館に降りると、そこは飢えたオッサンどもが集うハッテン場。中には女装したオッサンやゲイも居るらしく、しかもそれが目的で来る人間まで居るという。なんとも魑魅魍魎とした世界だ。
しかし、これどういう内容やねんな。「馬小屋の未亡人」
キャッチフレーズがまた凄い。
「あの世の亭主は馬並で…この前の男が人並だった。いっそ、本当の馬(以下自主規制)」
国際劇場の入口には、なんとも味のある手描きの映画看板がびっしり覆っている。
新世界は何でも庶民価格。映画館だって、最近流行りの小洒落たシネマコンプレックスに比べれば明らかに時代遅れなものの、たいていの映画館は千円以内で入れる。なお、この近辺だと飛田新地の近くにも「トビタシネマ」がある。
国際劇場の隣には、何かを待つ人々の群れがあった。
その先には「大衆演劇浪速クラブ」。昭和31年創業の、日本最古の大衆演劇場なのだ。
ホームページに書かれている通り、日本一粗末な建物で日本一安い入場料で自慢の役者を揃えて営業を続けている、筋金入りの劇場だ。3時間も観劇が楽しめてたったの1200円なのである。
さっきの成人映画もだが、場所が場所だけに、子供の教育にはよろしくないのだが、すぐ隣が天王寺動物園なので、遠足にやってくるお子様もバンバン新世界を通りがかるのだ。なんとも複雑な空間である。
「馬小屋の未亡人」のポスターの真横を、制服を着た小学生の子が通り過ぎていく。この女の子は将来どう育っていくのだろうか。
そんなこと知らんがな。
[map:34/38/55.544,135/30/36.205]
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